糸リフトを繰り返しても「また戻ってきた」と感じていませんか。ハイフを続けても、鏡を見るたびにフェイスラインの輪郭が曖昧になってきた、という声は60代の患者様から特に多く聞かれます。こうした経験が積み重なると、次第に「そもそも顔のより深い層にある組織にアプローチする方法はないのだろうか」という疑問が生まれてきます。
その疑問は、解剖学的に見ると正当です。60代の顔のたるみは、皮膚表面だけでなく顔の深層にある支持組織そのものが変化しているために生じています。非切開治療がアプローチしにくい深い層で、たるみに関与する組織の変化が生じているためです。
本記事では、60代のフェイスリフト(切開リフト)について、「なぜ今の治療では効果が続かないのか」という疑問に解剖学的な根拠で答えながら、切開リフトという選択肢が何をどのように改善するのかを詳しく解説します。
【記事執筆】福岡天神美容クリニック 院長 小林直樹
60代の顔のたるみ──なぜ糸リフトやハイフでは追いつかなくなるのか

60代になるとたるみの進行が加速する背景には、複数の組織が同時に変化するという事実があります。糸リフトやハイフが「思ったほど効かなくなった」と感じるのも、この多層的な変化を理解すると合理的に説明できます。
顔のたるみは「4層構造の崩壊」である
皮膚科学・解剖学の観点から整理すると、60代の顔のたるみには主に4つのレベルの変化が関与しています。
第一は真皮の劣化です。加齢とともにコラーゲン・エラスチンが減少し、皮膚そのものの弾力が失われます。第二は脂肪組織の変化で、顔の各部位にある脂肪コンパートメント(区画)が重力の影響で下垂・移動します。第三が、本稿で最も重要なSMAS(表在性筋膜群)のゆるみです。SMASとは、皮膚と筋肉の間に存在する薄い膜状の線維筋膜組織で、顔全体を「吊る」ハンモックのような役割を担っています。第四は骨格の変化で、顎骨や頬骨が徐々に吸収・縮小するため、土台そのものが変形します。
40代ではこのうち真皮と脂肪の変化が主体ですが、60代になるとSMASのゆるみが顕著になり、なおかつ骨格変化も加わります。それまで有効だった治療が「追いつかなくなった」と感じるのは、この組織の変化が深部に及んでいるためです。
リガメント(靭帯)の変化という要因
60代のたるみを語る上で見落とされがちなのが、リガメント(靭帯:皮膚を骨格に固定している線維組織)の変化です。顔には複数の靭帯が皮膚を骨に固定する役割を果たしており、これがたるみを「引き留める」ポイントとなっています。加齢によって靭帯が伸展・弛緩すると、固定されていた皮膚や脂肪が下垂し始め、ほうれい線やマリオネットラインとして表面に現れます。
靭帯そのものにアプローチできるのは外科的な切開術です。ハイフや糸リフトでは、伸展した靭帯を直接再緊張させることはできません。
糸リフトとハイフが届きにくい場所
糸リフトは皮下に特殊な糸を挿入し、物理的に皮膚・皮下組織を引き上げます。ハイフ(HIFU)は超音波エネルギーを照射し、組織の引き締めや再生を促します。いずれも優れた非外科的治療ですが、60代のたるみに対しては作用の限界があります。
糸リフトの場合、一般的な術式では糸が掛けられるのは主に皮下組織(皮膚直下の脂肪層)で、SMAS層そのものを外科的に操作するわけではないため、深部の組織変化には作用が及びにくい面があります。また、挿入した糸は体内で徐々に分解されるため、効果の持続期間に上限があります。ハイフはSMAS近傍を含む層に熱変性を起こし、引き締めや組織再生を促しますが、すでに大きく緩んだ組織を物理的に再固定するには限界があります。
切開リフトが深部へのアプローチで評価される理由は、SMAS層を直接切開・剥離し、物理的に引き上げて固定するという外科的アプローチにあります。非切開治療が「間接的な刺激」を与えるのに対し、切開リフトは「組織そのものを構造的に再配置する」治療です。
フェイスリフト(切開リフト)が60代に適している理由

皮膚の余剰やSMASの変化が顕著な段階では、変化を実感される方もいます。余剰皮膚の量が増え、なおかつSMASの変化が出ている60代は、切開リフトの対象としてひとつの適切な段階と考えられます。
SMAS層への直接アプローチ
フェイスリフトの核心は、SMAS(表在性筋膜群)を外科的に処理する点にあります。たるみの土台となっているSMASを引き上げ・縫合固定することで、顔全体の「土台」を整えることができます。皮膚だけを引っ張る方法と比べて自然な仕上がりになりやすく、また表情の動きが不自然になりにくいのもこの理由によります。
余剰皮膚の切除
60代ではSMASのゆるみに加えて、皮膚そのものの余剰(たるんだ皮膚の量)が増えています。注入系の治療や非切開治療では、余剰皮膚そのものに対処することはできません。切開リフトでは、引き上げた後に余った皮膚を切除するため、フェイスラインが物理的に整います。
長期持続の仕組み
切開リフトが比較的長い持続が期待できるのは、深層の組織レベルで固定を行うためです。加齢は今後も進みますが、手術によってリセットされた土台はその後も継続して機能します。一般に非切開治療と比べて持続期間が長い傾向があるとされていますが、術式や個人差によって結果は異なります。
切開リフトと非切開治療の比較──効果・持続性・コスト

治療を選ぶ際に「どちらが自分に合っているか」を判断するためには、各治療の特性を正確に理解することが重要です。以下の比較表は、切開リフトと糸リフト・ハイフの主要項目を整理したものです。
| 比較項目 | 切開リフト(フェイスリフト) | 糸リフト | ハイフ(HIFU) |
|---|---|---|---|
| 主なアプローチ層 | SMAS層・皮膚(外科的切除・固定) | 皮下組織(糸による引き上げ) | SMAS近傍を含む層(超音波熱変性・再生) |
| 効果の持続期間 | 数年単位(個人差あり) | 1〜2年程度(個人差あり) | 数か月〜1年程度(個人差あり) |
| ダウンタイム | 比較的長い(腫れ・内出血あり) | 比較的短い | ほぼなし |
| 適応の中心 | 中〜重度のたるみ | 軽〜中等度のたるみ | 軽度のたるみ・引き締め |
| 繰り返しの必要性 | 必要性が低い傾向 | 効果が戻れば再施術が必要 | 定期的な施術が必要 |
| トータルコストの考え方 | 初期費用は高いが、繰り返しが少ない傾向 | 繰り返すことで総額が増える傾向 | 維持のための定期施術が必要 |
「生涯コスト」という視点
糸リフトを1〜2年ごとに繰り返した場合、10年間の総費用は少なくない金額になります。加えて、その都度のダウンタイム、通院回数、体への負担も累積します。切開リフトは一度の投資として初期費用は高くなりますが、繰り返しが少なくて済む可能性があるため、長期的な視点でトータルコストと負担を比較することには合理性があります。
たとえば、糸リフトを年に1回の頻度で10年間継続した場合、単純計算で10回分の施術費用と、10回分のダウンタイムが発生します。一方、切開リフトは数年単位での持続が期待できる(個人差あり)とされており、繰り返しの回数が減る可能性があります。ご自身の治療履歴と費用負担を整理する際には、医師と一緒に検討することが重要です。
もちろん、糸リフトには「ダウンタイムが短い」「気軽に試せる」という実際のメリットがあり、侵襲度の違いから必ずしも手術が最優先ではないケースもあります。どちらが優れているという二択ではなく、現在のたるみの進行度と患者様のライフスタイル・優先事項によって最適な治療は異なります。深い層へのアプローチを検討する段階に来たと感じたとき、切開リフトは有力な選択肢となります。
FTB式SMASフェイスリフトの施術内容と流れ

福岡天神美容クリニックでは、SMAS切開リフトと糸リフトを組み合わせた「FTB式SMASフェイスリフト」を提供しています。以下、施術の内容と流れを解説します。
施術の概要
当院のFTB式SMASフェイスリフトは、SMAS層(表在性筋膜)までしっかりとアプローチする切開リフトに加え、こめかみから溶ける繊維(FTBリフト)を皮下へ挿入してリフトアップを補完するセットメニューです。耳の前の皮膚を切開し、たるんだ皮膚を引き上げながらSMAS層を処理します。
選べる切開範囲は2種類です。ロング(耳珠軟骨まで)は目元から顔の中央までのたるみを対象とします。エクストラロング(耳下まで)は目元からほうれい線・口元(マリオネットライン)まで広範囲に対応します。どちらが適切かは、たるみの進行度や患者様のご希望をもとに医師がカウンセリングでご説明します。
当院の特徴
当院のフェイスリフトには、術後の負担を軽減するための独自の工夫が取り入れられています。
独自の剥離方法と術式を採用することで、組織への負担を最小限に抑え、腫れや内出血が起こりにくい状態を目指しています。また、術後に固定バンドやドレーン(排液管)を使用しないため、術後の圧迫感が少なく、日常生活への復帰もスムーズです。縫合についても抜糸不要の方法を採用しており、通院回数は1回が基本です。
傷跡は耳周りのシワに沿って切開するため、時間の経過とともに目立ちにくくなります。傷跡の完成は術後約6か月が目安です。
施術の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 診察・カウンセリング | 医師が直接診察・カウンセリングを担当。患者様のご状態とご希望を丁寧に確認します |
| お会計 | 施術内容の確認と費用のご案内 |
| FTB式SMASフェイスリフトの施術 | 所要時間60〜80分 |
| 経過観察 | 1週間後・1か月後・2か月後に来院いただき、経過を確認します |
術後の回復の目安
- シャワー・洗顔・化粧:当日から可能
- 腫れのピーク:術後3日目前後
- 自然な状態への回復:術後1〜2か月
- 最終的な完成:術後2〜3か月〜6か月(個人差があります)
- 美容院:術後2週間以降
ダウンタイムとリスク・副作用

切開リフトは外科的な施術であるため、術後には一定のダウンタイムと副作用・リスクが生じます。受診前に正確に把握しておくことが、術後の不安を軽減することにつながります。
想定される副作用
腫れ・むくみは切開リフトで最も一般的な術後変化です。当院では腫れを抑える独自術式を採用しており、固定バンドも不要です。腫れは術後2〜4週間で自然に引き、最終的な完成は術後2〜6か月程度です。
内出血は術後2〜3日後から黄色みを帯びた内出血として現れることがあります。2〜3週間程度で落ち着くのが一般的です(個人差があります)。
痛みは、術後に頭痛や頭皮のつっぱり感が1〜2週間程度生じることがあります。ただし、痛み止めを内服すれば気にならない程度とされています。日常生活に支障が出るほどの強い痛みはほとんどありません。
傷跡は術後しばらく赤みが残りますが、1か月以降からどんどん赤みが引いていきます。紫外線に当たると色素沈着が起こりやすいため、紫外線対策を徹底することが必要です。
リスクについて
切開リフトには、以下のようなリスクが存在します。いずれも全例で起きるわけではありませんが、可能性として理解した上で受診することが重要です。
- 左右差(解剖学的な左右非対称は手術前から存在することがほとんどです)
- 感染(術後の清潔管理が重要です)
- 血腫(術後の圧迫や安静が予防に有効です)
- 引きつれ感・皮膚のつっぱり(多くは時間とともに改善します)
- 一時的な感覚変化(切開部周辺のしびれ感など)
- 顔面神経への影響(一時的な表情変化・麻痺感。発生頻度は低いですが、深部へのアプローチを行う手術に伴う合併症として知られています)
- 耳周辺の変形・瘢痕(肥厚性瘢痕・ケロイドを形成しやすい体質の方では注意が必要です)
- 皮膚壊死(血腫等に起因する稀な合併症です)
気になる症状が生じた場合は、早めに担当医に相談することが大切です。
切開リフトに向いている方・向いていない方
受診の目安として、以下を参考にしてください(最終的な適応は診察時に医師が判断します)。
向いている可能性が高い方
- 中〜重度の顔のたるみが気になる方
- 糸リフトを繰り返したが効果の持続に納得できていない方
- 一度の手術で変化を実感したい方
- ダウンタイムが取れる環境にある方
慎重に検討が必要な方
- 重大な持病(高血圧・糖尿病・血液凝固異常など)をお持ちの方
- 服薬中の薬がある方(抗凝固薬・血液をさらさらにする薬など)
- ケロイド体質の方
- 妊娠中・授乳中の方(原則として手術はお勧めしていません。詳細は担当医師にご相談ください)
- 術後の安静が十分に確保できない方
上記に当てはまる方でも、状態によっては施術可能な場合があります。まずは医師によるカウンセリングでご確認ください。
フェイスリフト後の効果を維持するために

切開リフトによってリセットされた顔の土台も、術後の過ごし方と生活習慣によって維持できる期間が変わります。手術を受けた後に「どう維持するか」を知っておくことは、長期的な満足度に直結します。
スキンケアの徹底
術後の皮膚は一時的にバリア機能が低下します。保湿ケアを徹底し、敏感な時期は刺激の少ない成分の製品を選ぶことが大切です。また、切開リフト後の最大の外的リスクは紫外線です。術後6か月は特に傷跡の色素沈着が起こりやすい時期であるため、日焼け止めの使用と物理的な遮光を習慣化してください。
補完的な美容医療との組み合わせ
切開リフトで改善できるのは、たるみによる輪郭の変化です。皮膚の質感(ハリ・ツヤ・細かいシワ)は、別のアプローチでケアすることで全体的な印象の向上につながります。ハイフは術後の維持に有効な選択肢の一つとされています。また、ヒアルロン酸注入やPRP治療(再生医療)などのボリューム補充・肌質改善治療と組み合わせることで、より自然なエイジングケアが期待できます。
切開リフト後に何か別の施術を追加したい場合は、術後の状態が安定する時期(通常術後数か月以降)を確認した上で、担当医師に相談することをお勧めします。
60代のフェイスリフトに関するよくある質問

Q. 60代でも切開リフトは受けられますか?
年齢よりも「たるみの進行度」と「全身の健康状態」が適応の主な判断基準となります。30代後半〜60代の方に適応がある施術で、フェイスラインのたるみを改善したい60代の方にも対応しています。診察で個別にご確認ください。
Q. フェイスリフトの効果はどのくらい持続しますか?
皮膚だけでなくSMAS層まで引き上げるため、数年単位のたるみ改善が期待できます(個人差があります)。加齢による変化は今後も進みますが、一般に非切開治療と比べて持続期間が長い傾向があるとされており、フェイスラインの変化が緩やかとされていますが、個人差があります。定期的なスキンケアやハイフを組み合わせることで、変化をより長く維持しやすくなります。
Q. 仕事への復帰はどのくらいでできますか?
腫れや内出血を抑える独自の術式を採用しており、デスクワーク程度であれば比較的早期に復帰できる方もいますが、腫れや内出血の程度には個人差があるため、余裕を持ったスケジュールでの調整をお勧めします。腫れのピークは術後3日目前後です。
Q. 傷跡は目立ちますか?
切開線は耳の周りや髪の生え際など目立ちにくい位置にデザインされます。縫合技術と丁寧な剥離によって傷の幅を最小限にし、時間とともに肌になじんでいきます。数か月後にはほとんど気づかれないケースもあり、紫外線対策をきちんと行うことで色素沈着のリスクを軽減できます。
Q. 糸リフトと切開リフトを同時に受けることはできますか?
当院のFTB式SMASフェイスリフトは、SMAS切開リフトとFTBリフト(溶ける繊維)の組み合わせセットメニューとして提供しています。また、必要に応じて脂肪吸引を同時に行うことで、フェイスラインをよりシャープに整えることも可能です。詳細はカウンセリング時にご確認ください。
福岡天神美容クリニックのFTB式SMASフェイスリフト

福岡天神美容クリニックでは、カウンセラー制度を導入せず、医師による丁寧なカウンセリングを行っています。患者様のお顔の状態とご希望を医師が直接確認し、適切な施術内容をご提案します。
当院のFTB式SMASフェイスリフトは、数千件以上の小顔・リフトアップ手術を担当してきた経験を持つ医師が執刀します。顔の解剖を熟知しているため、個々の骨格や脂肪のつき方に合わせた安全かつ効果的なデザインが可能です。SMAS層を確実に処理することで、数年単位での持続が期待できる施術設計としており(個人差があります)、固定バンド・抜糸不要という術後の患者様への負担軽減も実現しています。
「一度の手術で変化を実感したい」「繰り返す治療に区切りをつけたい」とお考えの方は、まずはカウンセリングでご相談ください。
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記事執筆:福岡天神美容クリニック 院長 小林 直樹
小顔・輪郭専門医として、ダウンタイムを最小限に抑えた施術に注力。糸リフト、脂肪吸引、切開リフトなどで「腫れにくさ」「自然な仕上がり」を追求してきました。
これまでに顔の脂肪吸引だけで累計4,500件以上、総症例数は1万件超を経験。2024年には年間脂肪吸引症例数 日本一を獲得するなど、豊富な実績に裏打ちされた確かな技術を持ちます。
また、二重整形やくまとり、眉下切開、たれ目形成などの目元治療、ヒアルロン酸・ボトックス注入などの若返り治療も得意分野。丁寧なカウンセリングと万全のアフターフォローで、患者様一人ひとりに寄り添った美容医療を提供しています。
「安心して任せられる美容医療」を信条に、理想の美しさと満足をお届けいたします。
【所属学会】
・日本美容外科学会(JSAS)
・アラガンボトックス認定医
・ジュビダームビスタ認定医
参考情報
本記事に記載している施術は自由診療(保険適用外)となります。効果・ダウンタイムには個人差があります。費用は施術範囲等によって異なります。詳細はカウンセリング時にご確認ください。施術に伴うリスク・副作用については、必ず担当医師にご確認ください。



