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切開リフト(フェイスリフト)後に笑えないのはいつまで?笑いにくさ・表情の不自然さ・左右差の原因と経過を美容外科医が解説

花屋の店先でブーケを受け取って笑う女性
目次

切開リフトの術後に、鏡の前で笑おうとしても口角がうまく上がらない、笑顔がぎこちなく見えると感じて、不安になる方は少なくありません。

これから手術を検討している方にとっても、「手術のあと自然に笑えなくなるのでは」という心配は、決断をためらう大きな理由の一つです。

術後の笑いにくさには、腫れやつっぱり感のように時間とともに落ち着いていくことが多いものから、顔面神経への影響のように経過を丁寧に確認する必要があるものまで、いくつかの原因があります。

どの原因によるものかで、経過の見通しや相談すべきタイミングは変わってきます。

笑顔は、皮膚の下にある表情筋と、その筋肉を動かす神経の働きによってつくられています。

切開リフトでこれらの組織がどのように関わるのかを知っておくと、今の状態を落ち着いて観察しやすくなり、見過ごしてはいけないサインにも気づきやすくなります。

そこで本記事では、切開リフト(フェイスリフト)後に笑えない、表情が不自然になる、左右差が気になるといった症状について、笑顔をつくる仕組み、主な原因、出やすい部位、時期別の経過の目安、医師に相談すべきサインまでを順に解説します。

なお、記載する経過はあくまで一般的な目安であり、症状のあらわれ方や回復の期間には個人差があります。

【記事執筆】福岡天神美容クリニック 院長 小林直樹

切開リフト後に「笑えない」と感じるのはどんな状態か

ギャラリーで絵を眺めて微笑む女性

術後の「笑えない」という患者さんの訴えは、人によって指している状態が異なります。

まずは、どのような感覚や見え方が多いのかを整理しておきましょう。

笑いにくさ・口元のこわばり

もっとも多いのは、笑おうとすると頬や口元が重く感じる、口角を上げようとしても引っかかる感じがするといった笑いにくさです。

大きく口を開ける、歯を見せて笑うといった動作で、特に強く感じられることがあります。

この段階では、筋肉自体は動いているものの、腫れやつっぱり感によって動きが妨げられていることが少なくありません。

本人は強い違和感があっても、周囲からは大きな変化に見えない場合もあります。

表情の不自然さ・ぎこちなさ

笑顔が作り笑いのように見える、表情の切り替わりが遅い、頬の一部だけが動いていないように感じるといった、表情の不自然さを訴える方もいます。

写真や鏡で見たときに、以前の笑顔との違いに気づいて不安になるケースが多いようです。

表情の不自然さは、腫れの残り方や組織が新しい位置になじむ途中の状態を反映していることが多く、時期によって見え方が変わっていきます。

一方で、引き上げの方向や皮膚への張力のかけ方によって、見え方の変化が長く残るケースもあります。

左右差(口角・下唇・眉の動き)

笑ったときに片側の口角だけが上がりにくい、下唇の動きが左右で違う、眉の上がり方に差があるといった左右差も、術後によく相談される症状です。

静止しているときは左右差が目立たなくても、表情を動かしたときに初めて気づくことがあります。

左右差には、腫れの引き方の違いによる一時的なものと、表情筋を動かす神経の働きが低下していることによるものがあります。

どちらによるものかで対応が異なるため、次の章で紹介する仕組みを知っておくと、状態を見分ける手がかりになります。

笑顔をつくる仕組み|表情筋・SMAS・顔面神経の関係

階段の途中で振り返って微笑む白衣の男性医師

笑いにくさの原因を理解するには、笑顔がどのようにつくられているかを知っておくことが役立ちます。

ここでは、切開リフトと関わりの深い組織を順に紹介します。

笑顔に関わる表情筋

笑顔は、単一の筋肉ではなく、複数の表情筋が同時に働くことでつくられます。

口角を斜め上に引き上げる大頬骨筋(だいきょうこつきん:頬骨から口角に向かう筋肉)、上唇を持ち上げる筋肉、口角を横に引く笑筋などが協調して動き、目の周りの眼輪筋も笑顔の印象に関わります。

表情筋は、骨から始まって皮膚に付着するという特徴を持っています。

そのため、筋肉が動くと皮膚が直接引かれ、細かな表情の変化が生まれます。

SMASと表情筋の位置関係

顔は、皮膚、皮下脂肪、SMAS(表在性筋膜:皮膚の下の浅い層にある線維性の膜状の組織で、部位によって表情筋や首の広頸筋と連続する)、支持靭帯(深い組織と浅い組織をつなぎ止める線維性の構造)、深部脂肪、骨格などが関わる多層構造です。

各層の位置関係や厚みは部位によって異なり、縦一列に単純に並んでいるわけではありません。

切開リフトでは、皮膚だけでなくSMASを含む組織を引き上げて固定します。

SMASは表情筋と連続しているため、術後しばらくは、組織が新しい位置になじむまでの間に表情の動きに影響が出ることがあります。

表情筋を動かす顔面神経とその枝

表情筋を動かしているのは、顔面神経(がんめんしんけい:表情をつくる筋肉を動かす運動神経)です。

顔面神経は耳の前あたりから顔の中に入り、耳下腺(じかせん:耳の前から下にある唾液腺)の中で枝分かれして、側頭枝、頬骨枝、頬筋枝、下顎縁枝、頸枝という枝に分かれていきます。

顔面神経は多くの部位でSMASより深い層を走行しますが、部位によってSMASとの位置関係は変化します(参考資料1)。

皮膚の感覚を伝える知覚神経とは別の神経であるため、しびれ(感覚の鈍さ)と動かしにくさは分けて考える必要があります。

しびれについては切開リフト後のしびれを解説した記事で詳しく紹介しています。

切開リフト後に笑えない・表情が不自然になる原因

テーブルで白い花を花瓶に生ける眼鏡の男性医師

術後の笑いにくさには、複数の原因が重なっていることがよくあります。

ここでは、代表的な原因を時期の早いものから順に紹介します。

局所麻酔の影響(手術直後から数時間)

手術直後の表情の動かしにくさや左右差には、局所麻酔の影響、腫れ、手術中の組織操作など、複数の要因が関与することがあります。

局所麻酔の影響による一時的な変化であれば、麻酔が弱まるにつれて数時間で軽快することがあります(参考資料2)。

ただし、麻酔が切れたあとも動かしにくさが続く、または強くなる場合は、自己判断せず手術を受けた医療機関へ連絡してください。

手術当日の表情の動きだけで、神経の状態や手術の成否を判断することはできません。

帰宅前の説明で、麻酔の影響がどのくらい続く見込みかを確認しておくと安心です。

腫れ・むくみ・内出血

術後の腫れやむくみ、組織の硬さは、表情を動かしにくく感じさせたり、筋肉が動いていても皮膚上の変化を分かりにくくしたりすることがあります。

特に術後早い時期は、頬や口元が厚ぼったくなることで、表情の変化が見えにくくなりやすい時期です。

腫れは左右で同じように引いていくとは限らないため、一時的な左右差の原因にもなります。

腫れや内出血の時期別の経過については、切開リフトのダウンタイムを解説した記事も参考にしてください。

つっぱり感・痛みによる無意識のかばう動き

術後は、引き上げた組織が新しい位置になじむまでの張力や、傷が治る過程での硬さによって、つっぱり感を感じることがあります。

口を大きく開けたり笑ったりすると引っぱられる感覚が強まるため、無意識に表情を小さくしてしまう方も少なくありません。

痛みやつっぱり感を避けようとする動きが続くと、表情がぎこちなく見えることがあります。

つっぱり感の原因と経過については、切開リフト後のつっぱり感を解説した記事で詳しく解説しています。

顔面神経の一時的な働きの低下

手術中に神経が引っぱられる、周囲の腫れで圧迫される、神経の近くで組織を操作するといったことで、顔面神経の働きが一時的に低下することがあります。

神経が切れていなくても伝わり方が弱まる状態で、表情筋の一部が動きにくくなります。

改善までの期間は、影響を受けた部位や程度、術式などによって異なります。

文献上、初期の変化が数日から数週間で軽快する例や、回復に数か月を要する例が報告されています(参考資料2)。

回復に1年ほどかかる場合や、まれに回復しきらない場合もあると報告されており(参考資料1)、改善の有無は担当医が継続して評価します。

組織の引き上げ方と方向による見え方

切開リフトでは、どの層をどの方向にどの程度引き上げるかによって、術後の表情の見え方が変わります。

皮膚だけを強く引っぱると、引きつれや不自然な表情につながるおそれがあるとされています。

また、顔の下の部分だけを横方向に強く引き上げた場合、口元から耳に向かう不自然なしわやラインが生じることがあると報告されています(参考資料1)。

術式や引き上げの設計は、たるみの状態や皮膚の余り方をみて、手術の経験をもつ医師が判断し提案します。

もともとの左右差が目立って見える

人の顔は、骨格や筋肉のつき方、表情のくせによって、もともと左右で少しずつ異なります。

術前には気にしていなかった左右差が、術後に鏡をよく見るようになったことで目立って感じられることもあります。

術前の写真と見比べることで、手術による変化なのか、もともとの特徴なのかを判断しやすくなります。

術前のカウンセリングで、現在の左右差を医師と一緒に確認しておくことをおすすめします。

症状が出やすい部位と、関わりやすい神経の枝

バルコニーでハーブに水をやる女性の横顔

表情の動きにくさは、どの部位にあらわれるかによって、関わっている神経の枝がある程度推測できます。

ここでは、部位ごとの特徴を紹介します。

口角・下唇の動き(下顎縁枝・頸枝)

笑ったときに下唇の片側が下がりにくい、「イー」と口を横に引いたときに口元がゆがんで見えるといった症状は、下顎縁枝(かがくえんし:下唇を下げる筋肉を動かす枝)への影響で起こることがあります。

顔面神経の枝への影響は部位や術式によって異なり、側頭枝や下顎縁枝は、ほかの枝による補い合いが少ないため左右差として気づかれやすいとされています(参考資料1・2)。

首の広頸筋を動かす頸枝への影響でも、下唇の動きに似た変化がみられることが報告されています(参考資料3)。

どちらによるものかは診察で見分けるため、口元の動きに左右差があるときは担当医に伝えてください。

眉・額の動き(側頭枝)

眉を上げにくい、額にしわを寄せたときに片側だけ動きが小さいといった症状は、側頭枝(そくとうし:額や眉を上げる筋肉を動かす枝)への影響で起こることがあります。

側頭枝はこめかみのあたりで比較的浅い位置を通るとされ、剥離の範囲がこめかみ側に及ぶ術式では注意が必要な部位です。

眉の動きの左右差は、笑顔の印象にも関わります。

笑ったときの目元の見え方が変わったと感じる場合も、担当医に相談してください。

頬・上唇・目の閉じ方(頬骨枝・頬筋枝)

頬骨枝と頬筋枝は、口角を上げる筋肉や上唇、目を閉じる筋肉などを動かす枝です。

これらの枝は途中で互いに連絡し合う構造があるとされ、影響を受けることがあっても、周囲の枝が働きを補うことで症状が目立ちにくい場合があります(参考資料2)。

目を閉じる力が弱い、まばたきがしにくい、目の乾燥感・痛み・見え方の変化があるといった症状は、角膜(黒目の表面)を傷つけるおそれがあります。

手術を受けた医療機関へ至急連絡し、必要に応じて眼科での評価を受けてください。

受診までの間、目を強くこすったり、コンタクトレンズを装用したりすることは避けましょう。

笑いにくさはいつまで続く?時期別の経過の目安

公園の芝生でシートに座り微笑む女性

術後の笑いにくさは、原因によって落ち着いていく時期が異なります。

以下は一般的な目安であり、術式、剥離の範囲や層、同時に行う施術、体質、喫煙、持病、服薬などによって経過は変わります。

時期よくみられる状態主に関わる原因
手術当日から数日口角や眉が動きにくい、表情が全体的に小さくなる局所麻酔の影響、腫れ、痛み
術後1週間から1か月腫れが落ち着いてくる方がいる一方、笑うと引っぱられる感覚が残りやすい腫れ・むくみ、つっぱり感
術後1か月から3か月表情の動きが少しずつなじんでくる方が多くみられる時期。神経の働きの低下がある場合は回復の途中つっぱり感、硬さ、神経の働きの低下
術後3か月以降腫れや傷跡の変化が徐々に落ち着く時期。最終的な評価の時期は術式と個人差により異なる神経の回復に時間がかかる場合は経過を継続して確認

手術当日から数日

手術当日は、局所麻酔の影響と腫れの始まりによって、表情が全体的に動きにくく感じられることがあります。

麻酔の影響は数時間で弱まっていくことがありますが、そのあとは腫れが増してくるため、表情の小ささはしばらく続くのが一般的です。

この時期は、表情の動きを何度も確かめる必要はありません。

安静と冷却など、担当医から指示されたケアを優先してください。

術後1週間から1か月

腫れや内出血が少しずつ落ち着いてくる方がいる一方で、笑うと頬や耳の前が引っぱられる感覚は残りやすい時期です。

当院の施術ページでは、術後2週間から4週間ごろを腫れが変化してくる目安として案内していますが、表情のなじみ方や経過には個人差があります。

この時期の左右差は、腫れの引き方の違いによるものが多くみられます。

左右差が日を追うごとに縮まっているかどうかを、同じ条件で撮った写真で確認しておくと、経過観察の際に伝えやすくなります。

術後1か月から3か月

腫れが落ち着くにつれて、表情の動きが少しずつなじんでくる方が多くみられる時期です。

一方で、傷が治る過程での硬さが気になり始める時期でもあり、笑顔の一部に張りを感じることがあります。

神経の働きの低下がある場合は、この時期に少しずつ動きが戻ってくる経過をたどることがあります。

動きがまったく変わらない、あるいは悪化していると感じる場合は、経過観察の予定を待たずに相談してください。

術後3か月以降、回復に差が出る主な要因

術後3か月を過ぎると、腫れや傷跡の変化は徐々に落ち着いていきますが、最終的な仕上がりの評価の時期は術式や個人差によって異なります。

当院の施術ページでは、仕上がりを評価する目安の時期を術後2か月から6か月ごろ、傷跡については半年ごろと案内していますが、あくまで目安です。

神経の働きの低下がある場合、回復には1年ほどかかることもあると報告されています(参考資料1)。

回復の早さには、神経への影響の程度や部位、年齢、持病、喫煙などが関わるため、ほかの方の経過と比べるのではなく、ご自身の変化を担当医と一緒に確認していくことが大切です。

術後の笑いにくさとの付き合い方|日常で気をつけたいこと

リビングのヨガマットで目を閉じて深呼吸する女性

術後の笑いにくさは、時間の経過とともに変化していくことが多い症状です。

回復を妨げないために、日常生活で次の点に気をつけましょう。

表情の動かし方は担当医の指示に沿う

術後早い時期の活動制限や口の開け方に関する指示は、術式や創部の状態によって異なります。

表情が戻ったかを確かめようと、強い痛みやつっぱり感を伴う動作を何度も繰り返すことは避け、表情を動かすことや口を大きく開けることについては、担当医から案内された範囲を守ってください。

表情筋の動かし方の練習やリハビリテーションが必要かどうか、始める時期や方法は、原因や経過によって異なります。

自己判断で始めるのではなく、担当医に確認してから行いましょう。

冷却と安静、就寝時の姿勢

冷却の方法や期間、圧迫の要否、頭を少し高くして休むといった就寝時の姿勢は、術式や皮膚の状態によって異なるため、担当医の指示に沿って行ってください。

冷やしすぎも皮膚の負担になるため、保冷剤を直接皮膚や傷に長時間当てないよう注意しましょう。

入浴、飲酒、激しい運動は、血流が増えることで腫れを強める場合があります。

再開の時期については、切開リフト後の洗顔や入浴の再開時期を解説した記事も参考にしてください。

必要に応じて写真や動画で経過を記録する

表情の変化は少しずつ進むため、鏡を見るだけでは回復しているかどうかが分かりにくいことがあります。

担当医から経過記録を勧められた場合は、同じ明るさと角度で、正面から「真顔」「笑顔」「イーと口を横に引く」「眉を上げる」「目を閉じる」の表情を、必要な頻度に限って撮っておくと変化を共有しやすくなります。

記録を見返すことで不安が強くなる場合は、無理に続ける必要はありません。

顔の写真や動画は大切な個人情報のため、保存や送信の際はプライバシーにも配慮してください。

自己流のマッサージや美顔器は控える

表情を早く戻したいという思いから、強くマッサージをしたり、美顔器を使ったりすることは控えてください。

術後早い時期に強い刺激を加えると、腫れや内出血を悪化させるおそれがあります。

マッサージや美顔器、エステでのフェイシャルケアを再開してよい時期は、担当医に確認してから判断しましょう。

すぐに相談・受診すべきサイン

クリニックの入口で受付スタッフに迎えられる女性

術後の笑いにくさは、時間とともに変化していく術後の経過の一部であることが少なくありません。

しかし、なかには早めの対応が必要な状態が隠れていることもあるため、次のようなサインがあるときは自己判断で様子を見続けず、手術を受けた医療機関に相談してください。

すぐに医療機関へ連絡すべき症状

次のような症状は、血腫(けっしゅ:皮膚の下に血液がたまること)や感染、皮膚の血流障害など、早めの対応が必要な状態のサインである可能性があります(参考資料1・2)。

時間帯にかかわらず、手術を受けた医療機関へ連絡してください。

症状考えられる状態の例
片側だけが急に強く腫れる、痛みが急に強くなる血腫など
止まりにくい出血がある出血、血腫など
発熱、傷からの膿のような排液、赤みや熱感が広がる感染など
皮膚の色が白っぽい、紫色、黒っぽく変化する皮膚の血流障害など
麻酔が切れたあとに顔が動かしにくくなった、動かしにくさが進んでいく顔面神経への影響、腫れや血腫による圧迫など
目が閉じにくい、目の乾き・痛み・見え方の変化がある顔面神経への影響、角膜の傷など
顔の動かしにくさに加え、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らない、急な激しい頭痛がある脳卒中など術後経過以外の病気(119番を優先)
息苦しさ、胸の痛み、意識がぼんやりする全身的な合併症など(119番を優先)

息苦しさ、強い胸の痛み、意識がぼんやりする、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなど、緊急性が高い症状があるときは、術後の経過と決めつけず、119番への救急要請を優先してください。

夜間や休診日の連絡方法は、手術前に必ず確認しておきましょう。

顔の動かしにくさが急に出た・進んでいくとき

術後しばらくは動いていたのに、ある時点から急に顔が動かしにくくなった、動かしにくさが日を追うごとに広がっているといった場合は、腫れや血液のたまりによる圧迫など、別の要因がないか確認が必要です。

次回の経過観察を待たずに、早めに連絡してください。

いつから、どの部位が、どのように変化したのかを記録しておくと、状態を正確に伝えやすくなります。

3か月以上たっても動きに改善がみられないとき

術後3か月を過ぎても、口角や眉の動きにまったく改善がみられない場合は、一度診察で評価を受けることをおすすめします。

3か月は相談の目安の一つであり、それまで待つ必要があるという意味ではありません。

少しずつでも動きが戻ってきている場合は、定期の経過観察の際に伝えれば問題ないことが多いですが、判断に迷うときは遠慮なく連絡してください。

医療機関で検討される対応

表情の動きにくさへの対応は、原因や時期、症状の程度によって異なります。

神経の働きの低下が疑われる場合は経過観察が基本となることが多く、動きの戻り具合を定期的に評価していきます。

症状が長く続く場合には、反対側の筋肉の動きを注射で調整して左右のバランスをとる方法や、手術による対応などが、医師の判断で検討されることもあります(参考資料2)。

どの対応が適しているかは個別に異なるため、まずは担当医に相談してください。

切開リフトの合併症全体については、切開リフトのデメリットとリスクを整理した記事で詳しく解説しています。

表情の不自然さを避けるために術前に確認したいこと

丸テーブルで男性医師に笑顔で話す女性

術後の表情の変化は、切開リフトを受ける以上、ある程度は想定しておきたい経過です。

手術を決める前に次の点を確認しておくと、術後の状態をイメージしやすくなり、不安を減らすことにつながります。

引き上げる層と方向、皮膚への張力のかけ方

どの層をどの方向に、どの程度引き上げる予定なのかは、術後の表情の自然さに関わる大切なポイントです。

剥離する範囲や層、術式によって、合併症の種類や発生のしやすさも異なります。

カウンセリングでは、皮膚とSMASをどのように引き上げるのか、術後に表情が動かしにくくなる可能性がどの部位にあるのかを具体的に質問しておくとよいでしょう。

自然な仕上がりの考え方については、切開リフトで自然な仕上がりを目指すためのポイントを解説した記事も参考にしてください。

もともとの表情と左右差を共有する

術前に、真顔と笑顔の写真を撮って医師と一緒に確認し、もともとの左右差や表情のくせを共有しておくことをおすすめします。

術後に左右差が気になったとき、手術による変化なのか、もともとの特徴なのかを判断する基準になります。

仕上がりの「自然さ」や改善したい印象は、人によって異なります。

日常の表情やご自身が大切にしたい特徴を医師と共有したうえで、期待できる変化と限界を確認しておきましょう。

過去に糸リフトやボトックス注射などの施術を受けたことがある方は、施術の時期と内容も伝えてください。

以前の施術の影響が、表情の見え方に関わっていることもあります。

持病・服薬・喫煙の申告

糖尿病などの持病がある方、喫煙される方は、傷の治りや回復の経過に影響することがあるため、術前に正確に申告してください。

抗凝固薬、抗血小板薬、アスピリンや一部の鎮痛薬(NSAIDs:一般的な解熱鎮痛薬の一群)、サプリメントなどは、出血のリスクに影響する場合があります。

ただし、自己判断で休薬・中止すると血栓症など重大な健康被害につながることがあるため、使用中の薬剤とサプリメントを処方医と執刀医の両方に申告し、必ず指示を受けてください。

術前の準備については、切開リフトの術前注意点を解説した記事で詳しく紹介しています。

術後の経過観察の予定と相談体制

表情の動きにくさは、時期ごとの変化を追って評価する必要があるため、術後の経過観察の予定と相談方法も確認しておきたい点です。

経過観察の来院時期、来院以外の相談手段、夜間や休診日に症状が出たときの連絡方法を把握しておくと、術後に不安を抱え込まずに済みます。

カウンセリングで確認しておきたい項目については、切開リフトのカウンセリングで聞くべきことを解説した記事も参考にしてください。

当院の切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の費用・リスク・通院

エレベーターホールで眼鏡の男性医師と会釈を交わす女性

ここでは、当院(福岡天神美容クリニック)で行っている切開リフトについて、施術内容、費用、通院、主なリスクを紹介します。

適応の可否や具体的な施術内容は、診察を行ったうえで判断します。

施術内容・費用・通院回数

当院のFTB式SMASフェイスリフトは、SMAS切開リフトに、当院でFTBリフトと呼んでいる糸による補助的な処置を組み合わせたセットメニューです。

耳周りのシワに沿って切開を行い、SMASを含む組織を引き上げてリフトアップを図ります。

当院では、皮膚だけを無理に引っ張らず、皮膚とSMASのバランスをみて引き上げる方針で手術を計画しています。

ただし、この方針によって術後の笑いにくさや左右差がなくなるわけではなく、表情の経過には個人差があります。

縫合には皮膚表面の抜糸を必要としない方法を用いていますが、創部の状態確認や術後の診察は必要です。

使用する糸の種類や承認状況、必要本数の考え方、追加費用、期待される変化と固有のリスクは、診察時に個別にご説明します。

項目内容(2026年9月時点)
施術名FTB式SMASフェイスリフト(FTBリフト2本が表示価格に含まれ、3本目以降を追加する場合は1本ごとに追加料金)
施術時間手術操作の目安は60分から80分。診察・準備・麻酔・術後の観察を含む院内の滞在時間は別途
手術と術後の診察手術は1回(抜糸なし)。術後は1週間後、1か月後、2か月後に経過観察の来院あり(経過により変わる場合があります)
Long定価800,000円(税込880,000円)/モニター価格500,000円(税込550,000円)
Exlong定価1,200,000円(税込1,320,000円)/モニター価格800,000円(税込880,000円)
FTBリフト追加(1本ごと)定価70,000円(税込77,000円)/モニター価格40,000円(税込44,000円)
麻酔(料金ページ掲載の別料金)笑気麻酔20,000円(税込22,000円)/静脈麻酔60,000円(税込66,000円)/表面麻酔5,000円(税込5,500円)。使用する麻酔の方法は診察で決定します
別途必要になりうる費用術前検査、麻酔、処方薬、術後の診察、追加の処置、修正や再手術などの費用が表示価格に含まれるかどうかは、治療内容により異なります。総額は手術を決める前にご確認ください

モニター価格の適用には条件があります。

写真の使用範囲や掲載媒体・期間、顔が写るかどうか、キャンセル時の取り扱いを含むモニター価格の適用条件、表示価格に含まれる項目と別途費用となる可能性がある項目、麻酔の方法は、手術を決める前の診察で必ずご確認ください。

料金は改定される場合がありますので、最新の内容は切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の施術ページでご確認ください。

本施術は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。

当院の切開リフトは、固定バンドやドレーンを一律に使用する方法ではありませんが、この方法が適用できるかどうかは診察で判断します。

術後の保護や冷却・圧迫などのケアの内容と期間は、手術内容や術中・術後の状態に応じて医師が判断して術前にご説明し、この設計によって腫れや表情の動きにくさなどの術後の変化がなくなるわけではありません。

主なリスク・副作用と受けられない場合

切開リフトの主なリスク・副作用には、腫れ、内出血、痛み、頭痛や頭皮のつっぱり感、硬さやひきつれ、表情の動かしにくさ、しびれや感覚の鈍さ、傷跡の赤みや色素沈着、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん:傷跡が赤く盛り上がること)、左右差、血腫、漿液腫(しょうえきしゅ:皮膚の下に体液がたまること)、感染、皮膚の血流障害や壊死、創傷治癒不良、脱毛や生え際の変化、耳周囲の形の変化、顔面神経の障害、麻酔に伴うリスク、再手術の可能性があります。

妊娠中・授乳中の方、出血しやすい体質の方、抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方(自己判断で中止せず、処方医と執刀医に相談してください)、コントロールが不十分な糖尿病などの持病がある方、ケロイド体質の方、喫煙される方は、施術を受けられない場合や、慎重な検討が必要な場合があります。

効果のあらわれ方やダウンタイムの経過には個人差があり、結果を保証するものではありません。

術後の経過観察と相談体制

当院では、原則として院長の小林がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。

施術後の経過はLINEでもご相談いただけますので、笑いにくさや表情の左右差など気になる変化があったときは、自己判断せずにお知らせください。

LINEは緊急時の連絡手段ではありません。

急な腫れや出血、顔の動かしにくさなど急ぎの症状があるときは、LINEの返信を待たずにお電話で連絡し、緊急性が高い場合は119番への救急要請を優先してください。

夜間や休診日に症状が出た場合の連絡方法と、術後の急な腫れや出血など、すぐに対応が必要な症状があるときの連絡の流れについては、手術前のご説明の際に必ずご確認ください。

切開リフト後に笑えないときのよくある質問

コワーキングスペースでノートパソコンに向かい微笑む女性

最後に、切開リフト後の笑いにくさや表情の変化について、カウンセリングでよく寄せられる質問を紹介します。

糸リフトでも笑いにくくなることはありますか?

糸リフトでも、挿入した糸の周囲の組織が落ち着くまでの間、笑ったときに引っかかる感じやひきつれを感じることがあります。

ただし、関わる組織や操作の範囲が切開リフトとは異なるため、症状の出方や経過も異なります。

糸リフトと切開リフトには、それぞれの特徴とリスクがあり、どちらが適しているかはたるみの状態や皮膚の余り方、ダウンタイムの許容範囲によって異なります。

両者の仕組みの違いについては、糸リフトと切開リフトの違いを解説した記事を参考にしてください。

笑えないのは手術が失敗したということですか?

術後に一定期間、笑いにくさや表情のぎこちなさを感じることは、切開リフトで想定される術後の変化の一つとされており、それだけで手術の成否が決まるわけではありません。

大切なのは、時間の経過とともに動きがどのように変化していくかを確認することです。

一方で、動かしにくさが日を追うごとに強くなる、数か月たっても動きがまったく変わらないといった場合は、別の評価が必要になることがあります。

不安な症状があれば、遠慮なく担当医に相談してください。

神経が切れてしまったかどうかは自分で分かりますか?

術後早い時期は、腫れやつっぱり感、局所麻酔の影響、神経の一時的な働きの低下が重なっていることがあり、ご自身で原因を見分けることは困難です。

術後すぐの症状だけで、神経が切れたと判断することはできません。

動きの左右差がある場合は、どの部位がどの程度動きにくいのかを担当医が診察で確認し、個々の症例の経過を追って評価します。

フェイスリフト後の顔面神経に関わる障害の頻度は、報告によって障害の定義や術式、評価の時期が異なるため、一律の数値で示すことには限界があります。

文献では、永続的な障害はまれとされる一方、一時的な左右差や動かしにくさを含めた頻度は、手術方法や評価時期によって異なるとされています(参考資料2)。

笑いにくい間も仕事や人と会うことはできますか?

仕事や日常生活への影響は、腫れ、内出血、つっぱり感、表情の動きにくさの程度に加え、仕事内容や人と対面する機会によって異なります。

接客や人前で話す機会が多い方は、表情の変化も考慮して、余裕のある予定を組むことをおすすめします。

マスクを着用すると口元の表情が目立ちにくくなりますが、耳にかけるひもが傷に当たらないよう注意してください。

復帰の目安は、ご自身の予定に合わせて術前に担当医と相談しておくと安心です。

まとめ

夕方の展望デッキで振り返って笑う女性

切開リフト後に笑えない、表情が不自然に見えるといった症状は、局所麻酔の影響、腫れやむくみ、つっぱり感による無意識のかばう動き、顔面神経の一時的な働きの低下、組織の引き上げ方、もともとの左右差などが重なって生じます。

口角や下唇の動きには下顎縁枝や頸枝、眉や額の動きには側頭枝など、部位によって関わる神経の枝が異なります。

手術直後から術後早期の表情の変化だけで、神経の状態や手術の成否を判断することはできません。

腫れによる動きにくさは術後数週間から1か月ごろに軽快傾向を示すことがあり、神経の働きの低下がある場合は、回復に数か月を要する例が報告されています。

ただし、回復の程度や期間には個人差があり、回復に1年ほどかかる場合や、まれに回復しきらない場合もあります。

術後は、表情の動かし方や冷却について担当医の指示を守り、自己判断でマッサージや表情の練習を始めないようにしましょう。

麻酔が切れたあとに顔が動かしにくくなった、動かしにくさが進む、片側だけの急な腫れや痛み、止まりにくい出血、目が閉じにくいといった症状があれば、すぐに手術を受けた医療機関へ連絡し、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくい、息苦しさや強い胸の痛みがある場合は、術後の経過と決めつけず119番への救急要請を優先してください。

本記事の内容は一般的な目安であり、結果や経過を保証するものではありません。

当院では、切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)について、原則として院長がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。

術後の表情の変化を含むリスクや経過について詳しく知りたい方は、適応・費用・リスク・術後の対応を確認したうえでご判断いただけるよう、まずはカウンセリングのご予約のうえ、診察でご相談ください。

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参考資料

本記事は、形成外科・美容外科領域の総説や研究報告をもとに作成しています。

施術の適応、術式、費用、リスク、ダウンタイムは個別に異なるため、診察時に担当医へご確認ください。

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