切開リフトを検討するとき、傷跡と同じくらい気にされることが多いのが、手術のあとに耳の形が変わってしまわないかという点です。
カウンセリングでも、「耳たぶが下に引っぱられたようにならないか」「髪をまとめたときに耳の周りが不自然に見えないか」といったご質問をよくいただきます。
切開リフトでは、耳の周りに切開線を置き、引き上げた組織と皮膚を耳の近くで縫い合わせます。
そのため、手術の設計や縫い合わせ方、傷の治り方によっては、耳たぶや耳珠(じじゅ:耳の穴の前にある小さな突起)の見え方が変わることがあります。
一方で、耳の形の変化がどのような仕組みで起こるのかを知っておくと、術前に医師へ確認すべき点がはっきりし、術後の状態も落ち着いて観察しやすくなります。
糸リフトやハイフで満足できず切開リフトを考え始めた方にとっても、手術を決める前に押さえておきたい内容です。
そこで本記事では、切開リフトで耳の形が変わる原因、リフト耳(ピクシーイヤー)や耳珠の変形の特徴、耳の周りで起こりうるそのほかの変化、術後の経過、予防のために確認したいこと、修正の考え方までを順に解説します。
なお、記載する内容は一般的な目安であり、変化のあらわれ方や経過には個人差があります。
【記事執筆】福岡天神美容クリニック 院長 小林直樹
切開リフトで耳の形が変わることはある?

結論からお伝えすると、切開リフトのあとに耳の形や耳の周りの見え方が変わることはあります。
ここでは、なぜ耳の周りが関わるのか、どのような変化が「耳の形が変わった」と感じられやすいのかを整理します。
切開リフトで耳の周りに切開線を置く理由
切開リフトは、フェイスラインや口元のたるみに対して検討される手術で、皮膚とその下の組織を引き上げる操作を行い、余った皮膚を切除して縫い合わせます。
切開線は、こめかみの髪の中や耳の前のシワ、耳たぶの周り、耳の後ろなど、傷跡が目立ちにくい位置にデザインされることが一般的です。
耳の周りは、顔の皮膚を後ろ上方向に引き上げたときに、余った皮膚を処理しやすく、傷跡を自然な境目に沿わせやすい部位です。
その反面、縫い合わせる部分が耳のすぐそばにあるため、皮膚にかかる力が耳たぶや耳珠の形に影響を与えることがあります。
「耳の形が変わった」と感じる主な状態
術後に耳の形について相談される内容は、いくつかの種類に分けられます。
代表的なものは、耳たぶが下や前に引っぱられて頬に張り付いたように見える状態、耳珠が前に引かれて平たくなる状態、耳の前の自然なくぼみが浅くなる状態です。
このほか、耳の前後の傷跡の赤みや盛り上がり、もみあげや生え際の位置の変化、耳たぶの感覚の鈍さを「耳の周りの違和感」として感じる方もいます。
どの状態によるものかで、経過の見通しや相談の仕方が異なります。
術後早期の見え方と、長く残る変化の違い
術後しばらくは、腫れやむくみ、傷の周りの硬さによって、耳の周りが一時的に厚ぼったく見えたり、形が変わったように感じられたりすることがあります。
こうした見え方は、腫れが落ち着くにつれて変化していくことが少なくありません。
一方で、皮膚の張力や切開線の位置に関係する変化は、時間がたっても残ることがあります。
術後早い時期の見え方だけで最終的な耳の形を判断せず、時期を追って担当医と一緒に確認していくことが大切です。
耳の形を理解するための基礎知識|耳たぶ・耳珠・耳の周りの組織

耳の形の変化を理解するには、耳のどの部分が手術と関わるのかを知っておくと役立ちます。
ここでは、切開リフトと関わりの深い部位を紹介します。
耳たぶ(耳垂)と頬・首の皮膚の境目
耳たぶは医学的には耳垂(じすい)と呼ばれ、軟骨を含まないやわらかい部分です。
耳たぶの下端と頬や首の皮膚の間には、本来ゆるやかな境目やくぼみがあり、これが耳たぶを独立した形に見せています。
耳たぶの形には、頬側に付着している形や下端が離れている形など、もともと個人差があります。
術前の耳たぶの形によって、手術でどのような点に注意が必要かも変わってきます。
耳珠(じじゅ)と耳の前のくぼみ
耳珠は、耳の穴の前にある軟骨を含んだ小さな突起です。
耳珠と頬の間には自然なくぼみがあり、このくぼみがあることで、耳と顔の境目が立体的に見えます。
切開リフトでは、この耳珠の前や後ろの縁に沿って切開線を置くことがあります。
耳珠の周りに皮膚を縫い寄せる方法や張力のかけ方によって、耳珠の形や耳の前のくぼみの見え方が変わることがあります(参考資料1・2)。
皮膚・SMAS・耳の周りの神経
顔は、皮膚、皮下脂肪、SMAS(表在性筋膜:皮膚の下の浅い層にある線維性の膜状の組織で、部位によって表情筋や首の広頸筋と連続する)、支持靭帯(深い組織と浅い組織をつなぎ止める線維性の構造)、深部脂肪、骨格などが関わる多層構造です。
各層の位置関係や厚みは部位によって異なり、縦一列に単純に並んでいるわけではありません。
耳たぶや耳の下の皮膚の感覚は、大耳介神経(だいじかいしんけい:耳たぶや耳の下、耳の後ろの皮膚の感覚を伝える神経)が担っています。
大耳介神経はフェイスリフトで影響を受けやすい神経とされており、耳の形とは別に、耳たぶの感覚の変化として術後に気づかれることがあります(参考資料1・5)。
なぜ切開リフトで耳の形が変わることがあるのか

耳の形の変化には、ひとつの原因だけでなく、いくつかの要因が重なっていることがよくあります。
ここでは、文献で指摘されている主な原因を紹介します。
縫い合わせる部分にかかる皮膚の張力
耳の形が変わる原因として文献で代表的に挙げられているのが、耳たぶや耳珠の近くで縫い合わせる皮膚にかかる張力です。
余った皮膚を多く除去して強く引き寄せると、縫い目に引っぱる力(テンション)が集中し、耳たぶが下や前に引き伸ばされることがあります(参考資料1・2)。
耳珠の周りでも同じように、縫い合わせる皮膚の張力が強いと、耳珠が前に引かれたり、耳の前のくぼみが浅くなったりすることがあります。
耳の周りの縫い目に張力をかけすぎないことは、耳周囲の変形のリスクを抑えるために重視される考え方の一つとされています。
皮膚だけで引き上げる設計と、SMASで支える設計
たるみを引き上げる力を皮膚だけで担おうとすると、縫い目の張力が強くなりやすいとされています。
そのため、多くのフェイスリフトでは、SMASを含む深い組織を引き上げて固定し、皮膚は余った分を張力の少ない状態で縫い合わせる考え方がとられています(参考資料2・3)。
ただし、SMASを扱う術式であっても、組織の処理の仕方や固定の位置によっては、耳たぶの周りに張力が残ることがあると報告されています(参考資料2)。
SMASを扱う術式であっても耳の形の変化や傷跡のリスクがなくなるわけではないため、皮膚の余り方、深い組織の扱い、切開線、固定位置を総合的に検討することが大切です。
切開線のデザインと位置
耳珠の前で切開するか、耳珠の縁の後ろ側で切開するかという二つの考え方によって、傷跡の見え方や耳珠の形への影響は異なります。
耳珠の後ろ側で切開する方法は傷跡が目立ちにくい一方で、耳珠が外側に反り返る、耳の前のくぼみが浅くなるといったリスクがあるとされています(参考資料1)。
耳たぶの周りや耳の後ろの切開線の位置も、傷跡の目立ちやすさや耳たぶの見え方に関わります。
切開線を直線的に置くのではなく、耳の自然なカーブに沿わせる工夫が文献で紹介されています(参考資料3)。
傷が治る過程の縮みと体質
傷は治る過程で、一時的に硬くなったり縮んだりします。
縫い目の周りの傷が縮むことで、耳たぶや耳珠の周りの皮膚が引かれ、形の変化として目立つことがあります。
皮膚の厚みや、傷跡の盛り上がりやすさ、色素沈着の起こりやすさには個人差があります。
ケロイド体質の方や、過去の手術やけがで傷跡が赤く盛り上がった、色素沈着が長引いたといった経験がある方は、術前に必ず医師へ伝えてください。
リフト耳(ピクシーイヤー)とは

フェイスリフト後の耳の変形のなかで、代表的に知られているのがリフト耳です。
ここでは、その特徴と起こりやすさの考え方を紹介します。
リフト耳の見え方と特徴
リフト耳は、英語でピクシーイヤー(pixie ear:妖精の耳)とも呼ばれる、耳たぶの変形です。
耳たぶが下や前に伸びたように引かれ、耳たぶの下端と頬の境目が失われて、耳たぶが頬に張り付いたように見えるのが特徴です(参考資料1・2)。
正面から見ると目立たなくても、髪を耳にかけたときや横顔、まとめ髪のときに気づかれることがあります。
耳たぶの形はもともと左右で差がある場合もあるため、術前の形と比べて判断することが大切です。
起こりやすさは一律ではない
リフト耳の起こりやすさは、術式、切開範囲、皮膚の余り方、縫い合わせる際の張力、評価の時期や基準などによって異なります。
文献で示されている頻度も対象や定義によって変わるため、単一の数値だけでご自身のリスクを判断することはできません。
ご自身の耳たぶの形や皮膚の状態、予定している切開範囲で、どの程度注意が必要かを、術前に医師に確認しておくことが大切です。
耳たぶの形や皮膚の特徴との関係
耳たぶの大きさや形、頬への付き方は人によって異なるため、同じ切開範囲であっても、耳たぶの周りにどの程度の注意が必要かは一人ひとり違います。
もともと耳たぶの下端と頬の境目がはっきりしない方は、術前の形を記録しておかないと、術後の変化かどうかを判断しにくいことがあります。
アジア人の患者さんを対象に、耳たぶの縫い付け方を工夫してリフト耳の予防と修正を試みた報告もあります(参考資料4)。
ご自身の耳の特徴を踏まえて、手術の設計について説明を受けることが大切です。
耳珠の変形と耳の前のくぼみの消失

リフト耳と並んで代表的に知られている変化が、耳珠の変形です。
耳珠は小さな部位ですが、耳と顔の境目の印象を大きく左右します。
耳珠が前に引かれる・平たくなる
耳珠の周りの皮膚に強い張力がかかると、耳珠が前に引かれて平たくなったり、耳の穴が前から見えやすくなったりすることがあります。
耳珠と頬の間の自然なくぼみが浅くなると、耳と顔の境目がのっぺりとした印象になります(参考資料2)。
こうした変化は、切開線のデザインや縫い合わせる際の張力、皮膚の血流障害などが関わって生じるとされています。
耳珠の上に移動させる皮膚を薄く整え、耳の前の組織に固定して自然なくぼみを再現する工夫が、文献で紹介されています(参考資料1)。
耳珠の前と後ろ、どちらで切開するか
耳珠の後ろ側の縁で切開する方法は、傷跡が耳珠の陰に隠れやすいという利点があります。
一方で、耳珠の前のシワに沿って切開する方法は、耳珠の形への影響を抑えやすいとされています(参考資料1・2)。
どちらの方法が適しているかは、性別、皮膚の厚み、耳の形、ひげの有無などによって異なります。
どの位置で切開する予定なのかは、カウンセリングで具体的に確認しておきたい点です。
男性で気をつけたいひげの位置
男性の場合、耳珠の後ろ側で切開すると、ひげの生えている頬の皮膚が耳珠の上に移動してしまうことがあります。
そのため、男性では耳珠の前で切開する考え方が文献で紹介されていますが、実際の切開位置は一人ひとりの状態をみて決めます(参考資料1・3)。
また、皮膚を後ろ上方向に引き上げることで、もみあげやひげの位置が耳に近づくことがあります。
男性の方は、ひげを剃る範囲や、もみあげの見え方がどう変わる可能性があるかも確認しておきましょう。
耳の形以外に耳の周りで起こりうる変化
耳の周りの違和感は、耳の形そのものの変化だけで生じるわけではありません。
ここでは、耳の形と混同されやすい変化を紹介します。
耳の前後の傷跡と赤み
切開リフトの傷跡は、耳の前のシワや耳の後ろなど目立ちにくい位置に置かれますが、術後しばらくは赤みや硬さがみられます。
傷跡の赤みが残っている時期は、耳の周りの輪郭がはっきりせず、形が変わったように感じられることがあります。
肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん:傷跡が赤く盛り上がること)やケロイドができると、耳の周りの見え方に影響することもあります。
傷跡の時期別の経過については、切開リフトの傷跡を解説した記事で詳しく紹介しています。
もみあげ・生え際の位置の変化
こめかみの髪の中や生え際に切開線を置く場合、皮膚を引き上げる方向や量によって、もみあげが短くなる、生え際の位置が後ろに移動するといった変化が生じることがあります。
皮膚を斜め上方向に強く引き上げることや、切開線のデザインが関わるとされています(参考資料2)。
耳の後ろの生え際でも、切開線の設計によっては段差が生じることがあると報告されています(参考資料2)。
髪型やヘアカラーの再開時期については、切開リフト後の髪型とヘアカラーを解説した記事も参考にしてください。
耳たぶや耳の周りのしびれ
術後に耳たぶや耳の下の感覚が鈍くなることがあります。
これは、耳たぶの感覚を伝える大耳介神経が、手術の操作や腫れの影響を受けることで起こるもので、耳の形の変化とは別の症状です。
大耳介神経は、フェイスリフトで影響を受けうる代表的な感覚神経の一つです。
文献上は最大7%程度とする記載もありますが、報告される頻度は術式や評価方法によって異なり、すべての手術に当てはまる数値ではありません(参考資料5)。
術後の感覚の変化には、腫れや組織が引かれることによる一時的なものも含まれ、必ずしも神経の恒久的な障害を意味するわけではありません。
感覚の回復には時間がかかることがあり、ピアスの着け外しやスマートフォンを耳に当てるときに違和感として気づくこともあるため、切開リフト後のしびれを解説した記事もあわせてご覧ください。
術後の耳の見え方はどう変化する?時期別の経過の目安

耳の周りの見え方は、術後の時期によって変化していきます。
以下は一般的な目安であり、術式、切開範囲、剥離の範囲や層、同時に行う施術、体質、喫煙、持病、服薬などによって経過は変わります。
| 時期 | よくみられる状態 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 手術当日から2週間ごろ | 耳の周りの腫れやむくみ、内出血、つっぱり感がみられやすい。耳たぶや耳の前が厚ぼったく見えることがある | 片側だけの急な腫れや痛み、出血、皮膚の色の変化がないか |
| 術後2週間から1か月ごろ | 腫れが落ち着いてくる方がいる一方、傷の周りの硬さや赤みが残りやすい | 耳たぶや耳珠の形を、同じ条件の写真で記録しておく |
| 術後1か月から6か月ごろ | 傷跡の赤みが少しずつ引いていく方が多くみられる時期。耳の周りの硬さもゆるやかに変化する | 傷跡の盛り上がりや、耳たぶが引かれる感じが強まっていないか |
| 術後6か月以降 | 腫れや傷跡の変化が徐々に落ち着く時期。最終的な評価の時期は術式と個人差により異なる | 耳の形について気になる点があれば、担当医と評価する |
手術当日から術後1か月ごろ
この時期は、耳の周りの腫れや内出血、傷の周りの硬さによって、耳たぶや耳珠の形が一時的に変わったように見えることがあります。
腫れの残り方は左右で異なることも多く、一時的な左右差として感じられる場合もあります。
当院の施術ページでは、術後2週間から4週間ごろを、腫れの見え方が変化してくる目安として案内していますが、経過は一律ではありません。
この時期の見え方だけで耳の形を判断せず、担当医の指示に沿って過ごすことを優先してください。
術後1か月から6か月ごろ
腫れが落ち着いてくると、耳の周りの輪郭が少しずつはっきりしてきます。
一方で、傷が治る過程での硬さや縮みが目立ちやすい時期でもあり、耳たぶが引かれるような感覚を覚える方もいます。
当院の施術ページでは、傷跡について、術後1か月以降に赤みが引いていき、半年ごろを一つの目安として案内していますが、傷跡の変化には個人差があります。
紫外線に当たると傷跡に色素沈着が生じやすいため、耳の前後の傷跡にも紫外線対策を続けましょう。
術後6か月以降
術後半年を過ぎると、腫れや傷跡の変化は徐々に落ち着いていきますが、最終的な仕上がりを評価する時期は術式や個人差によって異なります。
耳の形についての評価も、この時期以降にあらためて行うことが一般的です。
術前の写真と見比べて、耳たぶや耳珠の形に気になる点がある場合は、定期の経過観察の際に担当医へ伝えてください。
ほかの方の経過と比べるのではなく、ご自身の変化を担当医と一緒に確認していくことが大切です。
耳の形の変化のリスクを抑えるために術前・術後にできること

耳の形の変化のリスクを抑えるうえで重視されるのは、手術の設計の段階で耳の周りに張力が集中しないように計画することです。
そのうえで、患者さんご自身が術前・術後にできることもあります。
カウンセリングで切開範囲と切開線の位置を確認する
切開線をどこから始めてどこまで延ばすのか、耳珠の前と後ろのどちらで切開するのか、耳たぶの周りや耳の後ろまで切開が及ぶのかは、耳の形への影響に関わる大切なポイントです。
カウンセリングでは、実際に顔に線を引いて説明を受けるなど、具体的なイメージを持てるまで確認しておきましょう。
あわせて、皮膚とSMASをどのように引き上げるのか、耳の周りの縫い目に張力が集中しないためにどのような工夫をしているのかも質問しておくとよいでしょう。
切開範囲の違いについては切開リフトの切開幅を解説した記事、カウンセリングで確認しておきたい項目についてはカウンセリングで聞くべきことを解説した記事も参考にしてください。
現在の耳の形と左右差を記録して共有する
術前に、正面と左右の横顔、髪を耳にかけた状態の写真を撮り、耳たぶや耳珠の形を医師と一緒に確認しておくことをおすすめします。
耳の形はもともと左右で差があることも多く、術後に気になったとき、手術による変化なのか、もともとの特徴なのかを判断する基準になります。
過去に糸リフト、ヒアルロン酸注入、ボトックス注射などの施術や、耳の周りの手術、美容整形を受けたことがある方は、その時期と内容も伝えてください。
同時に脂肪吸引などの施術を併用する予定がある方や、ピアスの穴がある方は、その位置や数も含めて伝えておきましょう。
術後の耳の周りの過ごし方
術後しばらくは、ピアスやイヤリングの着用、耳にかけるタイプのマスクや眼鏡が、耳の周りの傷や耳たぶに負担をかけることがあります。
再開の時期や着け方は、担当医の指示に沿って判断してください。
耳の周りを強くこする、耳たぶを引っぱる、自己流でマッサージをするといった刺激は避けましょう。
洗髪や入浴の再開時期については、切開リフト後の洗顔や入浴の再開時期を解説した記事も参考にしてください。
すぐに医療機関へ連絡すべき症状
耳の周りの皮膚は、手術の操作や腫れの影響を受けやすい部位です。
次のような症状は、血腫(けっしゅ:皮膚の下に血液がたまること)や感染、皮膚の血流障害など、早めの対応が必要な状態のサインである可能性があるため、手術を受けた医療機関が案内する緊急連絡先へ直ちに連絡してください(参考資料1・5)。
| 症状 | 考えられる状態の例 |
|---|---|
| 片側だけが急に強く腫れる、痛みが急に強くなる | 血腫など |
| 止まりにくい出血がある | 出血、血腫など |
| 発熱、傷からの膿のような排液、赤みや熱感が広がる | 感染など |
| 耳の周りや耳たぶの皮膚の色が白っぽい、紫色、黒っぽく変化する | 皮膚の血流障害など |
| 急に顔が動かしにくくなる、目が閉じにくい | 顔面神経への影響など |
連絡がつかない場合や、息苦しさや強い胸の痛み、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくいといった症状がある場合は、術後の経過と決めつけず、119番への救急要請を優先してください。
夜間や休診日に症状が出たときの連絡方法は、手術前に必ず確認しておきましょう。
耳の形が変わったと感じたときの修正の考え方

術後に耳の形が気になる場合でも、時期によっては腫れや硬さによる一時的な見え方であることがあります。
ここでは、修正を検討する際の基本的な考え方を紹介します。
修正を検討する時期の目安
耳の形の修正は、腫れや傷の硬さが落ち着き、組織の状態を正しく評価できるようになってから検討することが一般的です。
術後早い時期に修正を急ぐと、組織がまだ変化している途中であるため、かえって評価が難しくなることがあります。
ただし、耳の周りの皮膚の色の変化や感染が疑われる症状など、早めの対応が必要な場合は、時期を待たずに受診が必要です。
修正の時期については、ご自身の状態をみた担当医の判断を確認してください。
文献で報告されている修正の方法
リフト耳の修正では、耳たぶの下の縫い目の張力を和らげる方法が中心になります。
具体的には、首側の皮膚をもう一度はがして張力を逃がしたうえで、耳たぶの下端の形を作り直す方法などが報告されています(参考資料1・2)。
アジア人の患者さんを対象とした報告では、耳たぶの下部を回転させて縫い付ける方法に、A型ボツリヌス毒素製剤(いわゆるボトックス)の注射を組み合わせた方法が紹介されています(参考資料4)。
ただし、これは文献上で報告されている方法であり、当院で行う治療内容を示すものではなく、国内で承認されている美容目的のボツリヌス毒素製剤の効能は眉間や目尻の表情じわに限られています。
耳珠の変形では、張力を耳の上や耳の後ろ側に逃がすように皮膚を配置し直す方法が紹介されています(参考資料2)。
修正手術にもリスクがあることを知っておく
修正手術は、すでに手術を受けた組織を扱うため、傷跡や血流の状態、皮膚の余り方によってできることが限られる場合があります。
修正によって期待できる改善の程度は症例ごとに異なり、新たな傷跡、腫れ、左右差などのリスクもあるため、事前に十分な説明を受けることが大切です。
他院で受けた切開リフトのあとに耳の形が気になる方は、手術の時期と内容が分かる資料があれば、診察時にお持ちください。
修正の相談については、フェイスリフトの修正・他院修正を解説した記事で詳しく紹介しています。
当院の切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の費用・リスク・通院

ここでは、当院(福岡天神美容クリニック)で行っている切開リフトについて、切開範囲、施術内容、費用、通院、主なリスクを紹介します。
適応の可否や具体的な施術内容は、診察を行ったうえで判断します。
切開範囲と施術内容
当院のFTB式SMASフェイスリフトは、SMAS切開リフトに、当院でFTBリフトと呼んでいる糸による補助的な処置を組み合わせたセットメニューです。
切開幅は、耳珠軟骨までの「Long」と、耳下までの「Exlong」の2種類からお悩みに応じてご提案し、切開線は耳の周りのシワや髪の生え際など、目立ちにくい位置にデザインします。
実際の切開線は、皮膚の余り方や耳の形、過去の手術歴などによって一人ひとり異なります。
当院の手術計画では、患者さんの状態に応じて、皮膚とSMASのバランスをみながら引き上げ方を検討します。
ただし、この方針によって耳の形の変化や傷跡のリスクがなくなるわけではなく、術後の経過には個人差があります。
縫合には皮膚表面の抜糸を必要としない方法を用いていますが、創部の状態確認や術後の診察は必要です。
使用する糸の種類や承認状況、必要本数の考え方、追加費用、期待される変化と固有のリスクは、診察時に個別にご説明します。
費用・施術時間・通院
| 項目 | 内容(2026年10月2日確認) |
|---|---|
| 施術名 | FTB式SMASフェイスリフト(FTBリフト2本が表示価格に含まれ、3本目以降を追加する場合は1本ごとに追加料金) |
| 施術時間 | 手術操作の目安は60分から80分。診察・準備・麻酔・術後の観察を含む院内の滞在時間は別途 |
| 手術と術後の診察 | 手術は1回(抜糸なし)。術後の経過観察の来院あり(時期と回数は経過により異なります) |
| Long(耳珠軟骨まで) | 定価800,000円(税込880,000円)/モニター価格500,000円(税込550,000円) |
| Exlong(耳下まで) | 定価1,200,000円(税込1,320,000円)/モニター価格800,000円(税込880,000円) |
| FTBリフト追加(1本ごと) | 定価70,000円(税込77,000円)/モニター価格40,000円(税込44,000円) |
| 麻酔(料金ページ掲載の別料金) | 笑気麻酔20,000円(税込22,000円)/静脈麻酔60,000円(税込66,000円)/表面麻酔5,000円(税込5,500円)。使用する麻酔の方法は診察で決定します |
| 別途必要になりうる費用 | 上記の麻酔料金、3本目以降のFTBリフト。術前検査、処方薬、術後の診察、追加の処置、修正や再手術などの費用の扱いは治療内容により異なるため、診察時の見積書でご確認ください |
表示価格に含まれる項目と別途費用となる項目は、施術内容や麻酔の方法によって異なります。
手術を決める前に、診察時の見積書で、総額、追加費用が生じる条件、術後の診察や処方薬の費用を必ずご確認ください。
モニター価格の適用には条件があります。
写真の使用範囲や掲載媒体・期間、顔が写るかどうか、キャンセル時の取り扱いを含むモニター価格の適用条件、表示価格に含まれる項目と別途費用となる可能性がある項目、麻酔の方法は、手術を決める前の診察で必ずご確認ください。
料金は改定される場合がありますので、最新の内容は切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の施術ページでご確認ください。
本施術は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。
当院の切開リフトは、固定バンドやドレーンを一律に使用する方法ではありませんが、この方法が適用できるかどうかは診察で判断します。
術後の保護や冷却・圧迫などのケアの内容と期間は、手術内容や術中・術後の状態に応じて医師が判断して術前にご説明し、この設計によって腫れや傷跡などの術後の変化がなくなるわけではありません。
主なリスク・副作用と受けられない場合
切開リフトの主なリスク・副作用には、腫れ、内出血、痛み、頭痛や頭皮のつっぱり感、硬さやひきつれ、表情の動かしにくさ、しびれや感覚の鈍さ、傷跡の赤みや色素沈着、肥厚性瘢痕、左右差、血腫、漿液腫(しょうえきしゅ:皮膚の下に体液がたまること)、感染、皮膚の血流障害や壊死、創傷治癒不良、脱毛や生え際の変化、耳たぶや耳珠など耳周囲の形の変化、顔面神経の障害、麻酔に伴うリスク、再手術の可能性があります。
妊娠中の方は、待機的な美容外科手術を控えることが一般的です。
授乳中の方は、麻酔や処方薬、授乳を再開する時期を含めて個別の確認が必要です。
出血しやすい体質の方、抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方(自己判断で中止せず、処方医と執刀医に相談してください)、コントロールが不十分な糖尿病などの持病がある方、ケロイド体質の方、喫煙される方は、施術を受けられない場合や、慎重な検討が必要な場合があります。
アスピリンや一部の鎮痛薬(NSAIDs:一般的な解熱鎮痛薬の一群)、サプリメントも出血のリスクに影響する場合があるため、使用中のものはすべて申告してください。
効果のあらわれ方やダウンタイムの経過には個人差があり、結果を保証するものではありません。
術後の経過観察と相談体制
カウンセリング、手術、術後の経過観察は、原則として院長の小林が担当しますが、緊急時や休診日などには他の医療スタッフが対応する場合があります。
施術後の経過はLINEでもご相談いただけますので、耳の周りの腫れや耳たぶの形など気になる変化があったときは、自己判断せずにお知らせください。
LINEは緊急時の連絡手段ではありません。
急な腫れや出血など急ぎの症状があるときは、LINEの返信を待たずにお電話で連絡し、夜間や休診日に症状が出た場合の連絡方法は、手術前のご説明の際に必ずご確認ください。
切開リフトと耳の形に関するよくある質問

最後に、切開リフトと耳の形について、カウンセリングでよく寄せられる質問を紹介します。
リフト耳は必ず起こりますか?
リフト耳は、切開リフトを受けた方に必ず起こるものではありません。
耳たぶの形や皮膚の状態、切開範囲、縫い合わせる際の張力など、複数の要因によって起こりやすさが変わります。
ご自身の耳の形でどの程度の注意が必要かは、診察で耳たぶや耳珠の形を確認したうえでご説明します。
術前に気になる点があれば、遠慮なく質問してください。
糸リフトでも耳の形は変わりますか?
糸リフトは、皮膚を切除せずに糸で組織のリフトアップを図る施術で、リフト耳のような縫い目の張力による耳たぶの変形とは起こる仕組みが異なります。
一方で、糸の挿入位置や固定の仕方によっては、耳の周りを含む挿入部位の周りで、ひきつれやくぼみなど見え方の変化が生じることがあります。
糸リフトと切開リフトは、関わる組織や操作の範囲、期待できる変化とリスクが異なるため、どちらが適しているかは、たるみの状態や皮膚の余り方によって判断します。
両者の違いについては、糸リフトと切開リフトの違いを解説した記事を参考にしてください。
耳の形が変わるのが心配な場合、切開範囲を小さくしたほうがよいですか?
切開範囲を小さくすると、耳たぶの周りや耳の後ろに切開が及ばない場合があり、その部位への影響は少なくなります。
一方で、切開範囲によって引き上げられる範囲や期待できる変化も異なるため、耳の形への配慮だけで切開範囲を決めることはおすすめしません。
たるみの部位や皮膚の余り方、ご希望の変化を踏まえて、それぞれの切開範囲で期待できる変化とリスクを比較したうえで決めることが大切です。
片方の耳だけ形が違って見えるのは異常ですか?
術後は、腫れの引き方や傷の治り方が左右で異なるため、一時的に片側の耳の周りだけ見え方が違うことがあります。
また、耳の形はもともと左右で差があることも少なくありません。
術前の写真と見比べて、明らかに片側だけ変化が強まっている、皮膚の色が変わっているといった場合は、早めに担当医に相談してください。
まとめ

切開リフトでは、耳の周りに切開線を置き、引き上げた皮膚を耳の近くで縫い合わせるため、耳たぶや耳珠の形、耳の前のくぼみの見え方が変わることがあります。
主な原因は、縫い目にかかる皮膚の張力、切開線のデザインと位置、傷が治る過程での縮みや体質であり、代表的な変化として、耳たぶが頬に張り付いたように見えるリフト耳(ピクシーイヤー)や、耳珠が前に引かれて平たくなる変形が知られています。
耳周囲の変形のリスクを抑えるためには、縫い目に過度な張力を集中させないよう、皮膚の余り方、SMASを含む深い組織の扱い、切開線、固定位置を総合的に検討することが重要です。
ただし、SMASを扱う術式であっても、耳の形の変化や傷跡などのリスクがなくなるわけではありません。
術前には、切開範囲と切開線の位置、耳珠の前後どちらで切開するのか、もともとの耳の形と左右差を医師と一緒に確認しておきましょう。
術後しばらくは、腫れや傷の硬さによって耳の周りが一時的に変わって見えることがあります。
耳の形の評価は腫れや傷跡が落ち着いてから行うことが一般的で、修正が必要な場合も、組織の状態を見極めたうえで検討します。
本記事の内容は一般的な目安であり、結果や経過を保証するものではありません。
当院では、切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)について、原則として院長がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。
耳の形への影響を含むリスクや経過について詳しく知りたい方は、適応・費用・リスク・術後の対応を確認したうえでご判断いただけるよう、まずはカウンセリングのご予約のうえ、診察でご相談ください。
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記事執筆:福岡天神美容クリニック 院長 小林 直樹
小顔・輪郭専門医として、ダウンタイムを最小限に抑えた施術に注力。糸リフト、脂肪吸引、切開リフトなどで「腫れにくさ」「自然な仕上がり」を追求してきました。
これまでに顔の脂肪吸引だけで累計4,500件以上、総症例数は1万件超を経験。2024年には年間脂肪吸引症例数 日本一を獲得するなど、豊富な実績に裏打ちされた確かな技術を持ちます。
また、二重整形やくまとり、眉下切開、たれ目形成などの目元治療、ヒアルロン酸・ボトックス注入などの若返り治療も得意分野。丁寧なカウンセリングと万全のアフターフォローで、患者様一人ひとりに寄り添った美容医療を提供しています。
「安心して任せられる美容医療」を信条に、理想の美しさと満足をお届けいたします。
【所属学会】
・日本美容外科学会(JSAS)
・アラガンボトックス認定医
・ジュビダームビスタ認定医
参考資料
本記事は、形成外科・美容外科領域の学会誌などに掲載された総説や研究報告をもとに作成しています。
施術の適応、術式、費用、リスク、ダウンタイムは個別に異なるため、診察時に担当医へご確認ください。
- 参考資料1|フェイスリフトの切開線(耳珠の前後・耳の後ろ)、リフト耳の原因と修正、耳珠の形を保つ工夫、大耳介神経について:Cervicofacial Rhytidectomy(StatPearls, NCBI Bookshelf)
- 参考資料2|リフト耳・耳珠の変形・生え際の変化の原因と修正方法について:Revision Facelift and Neck Lift(PMC)
- 参考資料3|耳の周りの切開線のデザイン、耳珠と耳たぶの変形の予防について:Facelift surgery: the importance of incision design and scar prevention(Journal of Cosmetic Medicine)
- 参考資料4|アジア人患者における耳たぶの縫い付け方の工夫とボツリヌス毒素製剤の併用によるリフト耳の予防と修正について:Earlobe Rotation for Prevention and Correction of Pixie Ear During Rhytidectomy in Asian Patients(Aesthetic Surgery Journal)
- 参考資料5|大耳介神経への影響の頻度と感覚の回復、短期合併症について:How to Prevent and Treat Complications in Facelift Surgery, Part 1: Short-Term Complications(Aesthetic Surgery Journal Open Forum)










