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内視鏡リフトと切開リフトの違いとは?適応部位・仕組み・ダウンタイムを比較

窓際に立ち穏やかな表情で前を向く女性
目次

たるみの治療を調べていくと、「内視鏡リフト」と「切開リフト」という二つの手術名に行き当たります。

どちらも顔のたるみを外科的に引き上げる治療ですが、名前が似ているために「切るか、切らないかの違いだろう」と受け取られることが少なくありません。

しかし実際には、両者は作用する部位も、手を加える組織の層も、余った皮膚の扱い方も異なります。

糸リフトやハイフ(HIFU)を何度か受けてきて「そろそろ手術を考えたい」という段階に入った方ほど、この違いを整理しないまま検討を進めてしまい、「自分のたるみにはどちらが合うのか判断できない」という状態で止まってしまいがちです。

そこで本記事では、内視鏡リフトと切開リフトの違いを、顔の解剖学的な構造にさかのぼって整理します。

手術の流れ、傷跡の位置、ダウンタイムの経過、術後ケア、リスク、適応の考え方、そして併用という選択肢まで、判断に必要な情報を順番に解説していきます。

なお、記載する経過や効果はあくまで一般的な目安であり、あらわれ方には個人差があります。

本文に入る前に、用語について整理しておきます。

「内視鏡リフト」は一つの決まった術式名ではなく、内視鏡を用いて額・眉・こめかみ・中顔面などを操作する複数の術式をまとめて指す言葉として使われています。

切開の位置、剥離する層、固定の方法、対象となる部位、想定される合併症は術式ごとに異なるため、本記事では主に内視鏡を用いた前額・眉のリフトを中心に解説し、中顔面に対する内視鏡手術は別の術式として扱います。

また、本記事で解説する内視鏡リフトの適応や費用については、その術式を実施している医療機関にご確認ください。

当院が扱う施術については、記事後半の費用とリスクの概要をご覧ください。

【記事執筆】福岡天神美容クリニック 院長 小林直樹

内視鏡リフトと切開リフトの違いを整理する|まず押さえたい3つの視点

テーブルで資料を見比べている女性

二つの手術を比べるとき、「どちらが優れているか」という問いから入ると、判断を誤りやすくなります。

両者はそもそも得意とする領域が異なる治療であり、比較すべきは優劣ではなく、自分のたるみの状態と手術の作用範囲が一致しているかどうかです。

ここでは、違いを理解するための3つの視点を先に提示します。

視点1|どこを引き上げる手術なのか(対象部位)

内視鏡リフトは、額(前額)・眉・こめかみといった上顔面に対して用いられることが多い手術です。

中顔面に対して内視鏡を用いる術式も存在しますが、こちらは切開位置も剥離範囲も適応も異なるため、同じ治療として一括りにはできません。

一方、一般的に「切開リフト」「フェイスリフト」と呼ばれる手術は、頬から口元、フェイスライン、首にかけての中顔面から下顔面を主な対象とします。

つまり、額の横ジワや眉の下がりが気になっている方と、フェイスラインのもたつきやマリオネットライン(口角から顎に向かう線)が気になっている方とでは、そもそも検討の入り口が違うということです。

視点2|どの層に働きかけるのか(剥離する層)

内視鏡を用いた前額・眉のリフトでは、骨膜下(骨を覆う膜の下)や、それに準じた深い層を剥離し、軟部組織をまとめて引き上げる方法が用いられます。

額の領域では、骨膜を骨から剥がし、骨膜ごと組織全体を移動させるという説明がなされます。

ただし剥離する層や固定の方法は、対象が額なのかこめかみなのか中顔面なのかによって変わります。

切開リフトでは、皮膚と皮下組織を剥離したうえで、SMAS(表在性筋膜、スマス:皮膚と表情筋の間にある薄い膜状の組織)などの支持組織を移動・固定し、そのうえで余った皮膚を処理します。

同じ「深い層に働きかける手術」でも、触れる層と操作の内容が異なります。

視点3|余った皮膚をどうするのか(皮膚切除の有無)

もっとも実務的で、かつ見落とされやすいのがこの点です。

内視鏡リフトは小さな切開から器具を入れて組織を引き上げる手術であり、原則として余剰な皮膚を切除しません。

これに対して切開リフトは、組織を引き上げたうえで余った皮膚を切除できます。

皮膚そのものが伸びて余ってきている状態か、まだ皮膚の余りは目立たず支持組織の下垂が中心なのか。

この見極めが、どちらの手術が検討対象になるかを大きく左右します。

比較項目内視鏡リフト切開リフト(SMASフェイスリフト)
主な対象部位主に額・眉・こめかみ。中顔面に用いる内視鏡手術もあるが、別術式として適応と操作範囲を個別に確認する必要がある中顔面~下顔面、フェイスライン、首
組織への働きかけ術式により骨膜下などの深い層を操作する。剥離する層や固定方法は対象部位によって異なるSMASなどの支持組織を移動・固定し、皮膚を処理する
余剰皮膚の処理原則として切除しない切除できる
主な切開の位置頭皮内・生え際付近・こめかみなど耳の前から耳たぶ周囲、症例により耳の後ろ~生え際
侵襲の程度比較的小さいとされるが、術式と剥離範囲による剥離範囲により差が大きい

表の内容は一般的な傾向をまとめたものです。

実際にどの層をどこまで剥離し、どこを固定するかは術式・医師の方針・たるみの状態によって異なります。

内視鏡リフトとは|内視鏡で深部を確認しながら引き上げる手術

モニターの前で説明する白衣の男性医師

内視鏡リフトは、細いカメラ(内視鏡)を体内に入れ、モニターに映した拡大映像を確認しながら深部の剥離と引き上げを行う手術です。

直接目で見ることが難しい領域を、映像を通して確認しながら操作できる点が、この術式の技術的な特徴とされています。

手術の基本的な流れ

前額・眉のリフトでは一般に、頭皮内や生え際の後ろに1~2センチ程度の小さな切開を数か所加え、そこから内視鏡と専用の剥離器具を挿入します。

正中と左右のこめかみ側を合わせて数か所に切開を置く方法が多く紹介されています。

骨膜下などの層を剥離して軟部組織を移動させ、目標の位置で固定して手術を終えます。

麻酔は、施術範囲や医療機関の方針によって局所麻酔に静脈麻酔(静脈内鎮静法)を併用する場合や、全身麻酔で行う場合があります。

手術時間は範囲によって幅がありますが、額の領域に限定した手術では1~2時間程度と案内されることが多いようです。

固定の方法と「戻り」への考え方

内視鏡リフトでは皮膚を切除しないため、引き上げた組織をどう保持するかが重要になります。

骨に小さな穴を開けて糸で固定する方法、吸収性の固定器具を用いる方法、スクリューやプレートに糸をかける方法など、複数の手技が報告されています。

海外の医学文献では、内視鏡による眉のリフトについて、術後にある程度の下垂の戻りが生じうることが前提として記載されています。

固定方法によって保持の仕方が異なるため、どの方法を用いるかは手術を受ける前に確認しておきたい項目のひとつです。

主な対象部位と、向いているとされる状態

額の横ジワ、眉間の縦ジワ、眉の下がりによって目元が重く見える状態、眉の外側からこめかみにかけての下垂などが、内視鏡リフトの主な対象として挙げられます。

なお、こめかみの「くぼみ」が主な悩みである場合は、組織の下垂ではなくボリュームの減少が関係していることがあります。

この場合は引き上げる手術ではなく、脂肪注入やヒアルロン酸などの注入治療が検討される場合があり、下垂とは別の問題として評価されます。

一般に、軽度から中等度のたるみで、皮膚の余りがまだ大きくない方に適しているとされます。

一方、額の生え際がもともと後退している方では、この手術によって生え際の位置がわずかに上がる可能性が指摘されており、適応の判断に注意が必要とされています。

切開リフトとは|SMASを移動・固定し、余剰皮膚を処理する手術

デスクに座って話す眼鏡をかけた白衣の男性医師

切開リフト(SMASフェイスリフト)は、耳の周囲など傷跡が目立ちにくい位置を切開し、皮膚とSMASなどの支持組織に直接働きかける手術です。

頬からフェイスラインにかけての下垂に対して検討される術式のひとつで、当院で扱う術式と対象範囲については、記事後半の費用とリスクの概要および施術ページをご確認ください。

手術の基本的な流れ

こめかみ付近から耳の前、耳たぶの下を通るラインで切開し、症例によっては耳の後ろから生え際まで切開範囲を延長します。

皮膚を剥離したうえでSMASを引き上げて縫合・固定し、最後に余った皮膚を切除して丁寧に縫い合わせます。

剥離の範囲や、SMASをどのように処理するか(引き上げて縫い縮める、切開して移動させる、支持靭帯の一部を処理するなど)は術式によって差があり、この差が効果の範囲とダウンタイムの両方に影響します。

SMASと支持靭帯への働きかけ

顔の中では、SMASが皮膚と表情筋の間で組織をつなぐ役割を担っています。

またリガメント(支持靭帯:皮膚やSMASなどの軟部組織を骨や深部に固定している線維組織)が、顔の各所で組織を一定の位置につなぎ止めています。

切開リフトの特徴は、このSMASなどの支持組織を直接移動し、位置を変えて固定できる点にあります。

SMAS層への働きかけの仕組みは、SMASフェイスリフトの仕組みを解説した記事で詳しく説明しています。

糸リフトやハイフが「組織を支持する」「熱によって収縮を促す」といった作用であるのに対し、切開リフトは組織そのものを剥離して動かすという、作用の仕組みが異なる治療です。

なお、顔面神経の枝は多くの部位でSMASより深い層を走行しますが、部位によってSMASとの位置関係は変化します。

そのため切開リフトでは、神経の三次元的な走行を踏まえた慎重な剥離操作が求められます。

主な対象部位と、向いているとされる状態

頬の下垂、ほうれい線やマリオネットラインの目立ち、フェイスラインのもたつき、顎下から首にかけてのゆるみなどが主な対象です。

皮膚の余りが目立ってきている方、糸リフトやハイフを重ねてきたものの変化の感じ方が以前と異なると感じている方が、検討の対象になることが多い治療です。

切開リフトの中にも、切開範囲の短いタイプと広いタイプがあり、対象範囲やダウンタイムが異なります。

この点はミニリフトとフルリフトの違いを解説した記事で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。

たるみの解剖から見た、二つの手術の作用の違い

立って説明する医師と座って聞く女性

なぜ同じ「たるみの手術」でありながら、対象部位も操作する層も異なるのか。

その理由は、顔のたるみが単一の原因で起こるものではなく、部位によって変化の現れ方が異なることにあります。

ここでは解剖学的な背景を整理します。

顔は多層構造で、たるみは複数の要因が重なって生じる

顔の軟部組織は、皮膚、皮下脂肪、SMASを含む表在性の筋膜と表情筋の複合体、支持靭帯、深部脂肪、骨格などが関わる多層的な構造です。

これらの位置関係や厚みは部位によって異なり、どこでも同じ順番に並んでいるわけではありません。

加齢に伴う変化は、皮膚の弾力の低下、脂肪区画(顔の脂肪がいくつかのまとまりに仕切られて存在している、その区画ごとの位置と量)の変化、支持組織や支持靭帯のゆるみ、骨格の変化(体積の減少など)といった複数の要因が重なって生じると考えられています。

このため、「SMASのゆるみだけが原因」「脂肪が上から下へ移動しただけ」といった単一の説明では、実際に起きている変化を十分に説明できません。

どの層の変化が主体になっているかは方によって異なり、その見極めが治療選択の前提になります。

上顔面と下顔面では、変化の現れ方が異なる

額や眉の領域では、皮膚が大きく余るというより、軟部組織全体が下方に移動することで眉が下がり、上まぶたが重く見えるという形で変化が現れやすいとされています。

この領域では骨に近い深い層から組織を持ち上げる操作が理にかなっているため、内視鏡を用いた手術が選択肢になります。

一方、頬から下顔面にかけては、支持組織の下垂に加えて皮膚そのものの余りが生じやすい領域です。

組織を引き上げるだけでは皮膚の余りが残るため、余剰皮膚を処理できる切開リフトが選択肢として挙がります。

糸リフト・ハイフとの位置づけの違い

糸リフトは、糸を挿入して組織を支持・牽引する治療です。

挿入する層は糸の種類や術式、部位によって異なり、「浅い層だけに作用する」と一律に言えるものではありません。

ハイフも同様に、機種や設定によってSMASを含む深さにエネルギーが届く場合があります。

非切開の治療で得られる変化の程度や、その持続の感じ方は、治療法・使用する製剤や機器・部位・回数・個人の状態によって異なります。

いずれも下垂した組織を剥離して物理的に移動させ、固定し直す治療ではないという点で切開リフトと作用の仕組みが異なりますが、どちらも有効な治療であり、進行の程度や希望するダウンタイムによって使い分けられるものです。

糸リフトと切開リフトの違いについては、解剖学的な視点から比較した記事で詳しく解説しています。

手術の流れ・麻酔・手術時間の違い

テーブルを挟んで向かい合う女性と男性医師

実際に手術を受ける立場から見ると、当日の流れや所要時間、麻酔の内容は現実的な判断材料になります。

ここでは両者の違いを整理します。

当日の流れと所要時間の目安

いずれの手術も、診察でデザインを確認し、麻酔をかけ、切開・剥離・引き上げ・固定・縫合という流れで進みます。

所要時間は剥離する範囲によって大きく変わり、額の領域に限定した内視鏡リフトでは1~2時間程度、顔全体に及ぶ手術では数時間に及ぶこともあります。

切開リフトも同様に、切開範囲が短いタイプと広いタイプで手術時間が異なります。

当院のFTB式SMASフェイスリフトについては、施術時間の目安を切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)のページに記載していますので、そちらをご確認ください。

麻酔の考え方

どちらの手術でも、局所麻酔に静脈麻酔を併用する方法や、全身麻酔が用いられます。

「局所麻酔と全身麻酔のどちらが安全か」は一律に答えられるものではなく、適切な用量管理や術中のモニタリングといった管理体制によって安全性が支えられます。

麻酔の選択は、手術範囲と時間、不安の強さやご希望、全身状態や持病を含めて総合的に判断されます。

使用する麻酔の種類と、その日の管理体制については、カウンセリングの際に必ず確認しておきたい項目です。

術前に確認・申告しておきたいこと

いずれの手術でも、術前の申告内容が安全性に直結します。

抗凝固薬、抗血小板薬、アスピリン、解熱鎮痛薬(NSAIDs)、健康食品やサプリメントを使用している場合も、必ず手術前に申告してください。

これらの薬の中止や変更は、血栓症や基礎疾患の悪化につながる可能性があるため、自己判断では行わず、処方している医師と手術を担当する医師の指示に従ってください。

あわせて、既往歴と持病、アレルギー、過去の麻酔でのトラブル、妊娠や授乳の有無、喫煙と飲酒の習慣も伝えてください。

喫煙や血圧のコントロール状況は、術後の出血や傷の治りに関係することが報告されています。

確認項目内視鏡リフト切開リフト
麻酔局所麻酔+静脈麻酔、または全身麻酔局所麻酔+静脈麻酔、または全身麻酔
術前検査医療機関の方針により血液検査等医療機関の方針により血液検査等
抜糸術後1週間前後と案内されることが多い術式により異なる
通院経過観察のための再診経過観察のための再診
緊急時の連絡夜間・休診時の連絡方法を術前に確認夜間・休診時の連絡方法を術前に確認

医療機関によって検査の内容や通院の回数は異なります。

契約前に、どこまでが費用に含まれ、何が別途必要になるのかとあわせて確認してください。

抜糸と通院の違い

内視鏡リフトでは、術後1週間前後で抜糸を行うと案内されることが一般的です。

切開リフトも術式によって抜糸の時期が異なります。

当院では、固定バンドやドレーンを用いず、抜糸も行わない設計を採用しています。

適用できるかどうかは診察で判断され、またこの設計によって腫れや内出血などのダウンタイムがなくなるわけではありません。

経過には個人差がありますので、診察時にご自身の状態に即した説明をお受けください。

傷跡の位置と目立ちにくさの違い

鏡の前で髪を耳にかける女性

傷跡は、手術を検討する際にもっとも気にされる項目のひとつです。

両者は傷跡の「大きさ」だけでなく「位置」が違うため、隠れやすさの条件も変わります。

内視鏡リフトの傷跡

頭皮の中や生え際の後ろに、1~2センチ程度の切開を数か所置く方法が一般的です。

髪で覆える位置に傷跡を置ける場合がありますが、髪型、毛量、生え際の位置、傷の治癒経過によって見え方は異なります。

また、切開部周辺に一時的な脱毛が生じる可能性が報告されており、傷跡が分からなくなることを保証するものではありません。

切開リフトの傷跡

耳の前の輪郭に沿った線、耳たぶの周囲、症例によっては耳の後ろから生え際にかけて傷跡が残ります。

耳の形に沿わせてデザインすることで目立ちにくくする工夫が行われますが、髪をまとめたときに見える位置にかかることもあります。

傷跡が落ち着くまでには時間がかかり、赤みや色素沈着が一定期間続く場合があります。

生え際の位置と髪の量による考慮点

額の内視鏡リフトでは、手術によって生え際の位置がわずかに上がる可能性が指摘されています。

もともと生え際が後退している方や、額が広いことを気にされている方では、この点が適応の判断に関わります。

切開リフトでも、耳の後ろから生え際にかけて切開を延長する場合、生え際のラインが変化することがあります。

髪の量や分け方、普段の髪型を含めて、診察時に相談しておきたい項目です。

ダウンタイムと回復経過の違い

ソファでブランケットを掛けてくつろぐ女性

ダウンタイムは剥離範囲と操作した層の広さに左右されます。

どちらが軽い・重いと単純に決まるものではなく、同じ術式でも範囲によって経過が変わります。

腫れと内出血は分けて考える

腫れは、剥離した組織の反応として術直後から強く出て、数日でピークを迎える経過をたどるのが一般的です。

内出血は、血管から漏れた血液が皮下に広がるもので、腫れとは別に色の変化として現れ、時間の経過とともに色調が変わりながら引いていきます。

内視鏡リフトでは、剥離範囲が広い場合に内出血が引くまで数週間かかることがあると説明されています。

切開リフトでも、剥離範囲が広いほど腫れ・内出血の範囲は広くなる傾向があります。

感覚の変化・つっぱり感

いずれの手術でも、剥離した範囲の感覚が一時的に鈍くなることがあります。

額の手術では、眉の上から頭頂部にかけてしびれた感じが残る場合があり、切開リフトでは耳の周囲や頬の感覚が鈍くなることがあります。

回復の程度や期間には個人差があり、症状が長引く場合や、まれに残る場合もあります。

つっぱり感も共通する症状です。

組織を引き上げた影響として数週間かけて軽減していくと案内されることが多い症状ですが、こちらも感じ方と期間には幅があります。

下表は、術後の変化を理解するための一般的な目安です。

術式、剥離範囲、同時に行う施術、皮膚の状態、喫煙、持病、服薬状況などにより経過は大きく異なります。

腫れ・内出血・感覚の変化・傷跡の成熟には、表より長い期間を要する場合があります。

仕事、旅行、対面の予定などは余裕をもって計画し、個別の復帰時期は担当医の診察に基づいて判断してください。

時期内視鏡リフトの一般的な経過切開リフトの一般的な経過
当日~3日腫れが強くみられやすい時期。痛みや重い感じを伴うことがある腫れが強くみられやすい時期。内出血も出始める
4日~1週間腫れが軽減し始める方がいる時期。この時期に抜糸を行う方法が多い腫れが軽減し始める方がいる時期
1~2週間腫れが落ち着いてくる方がいる時期。つっぱり感は残ることがある腫れが落ち着いてくる方がいる時期。内出血は色調が変化しながら軽減
2週間~1か月内出血が軽減することが多い時期。ただし長引く場合がある。むくみや硬さが残ることがあるむくみ・硬さが残る時期。傷跡の赤みが続く
1~3か月感覚の変化が軽快する場合がある。長く残る場合もある感覚の変化が軽快する場合がある。傷跡が落ち着き始める
3か月以降腫れや傷跡の変化が徐々に落ち着く時期。最終的な評価の時期は術式と個人差により異なる腫れや傷跡の変化が徐々に落ち着く時期。最終的な評価の時期は術式と個人差により異なる

仕事や外出の再開をどう見積もるか

医療機関の案内では「翌日から外出できる場合が多い」といった記載を見かけることがありますが、腫れや内出血が人目に触れる状態で残ることを考えると、少なくとも1週間前後の余裕を見ておくほうが現実的です。

人と対面する機会の多い仕事では、2週間程度を見込む方もいます。

休業できる期間や傷跡の位置に関するご希望も術式選択の要素ではありますが、実際の経過は個人差が大きく、希望だけで術式を決めることはできません。

ダウンタイムを軽く見積もったまま予定を組むと、精神的な負担が大きくなります。

手術の時期は、仕事や家庭の予定と照らし合わせて決めることをおすすめします。

切開リフトのダウンタイムについては、経過の目安をより詳しくまとめた記事もあわせてご覧ください。

術後ケアと生活で気をつけたいことの違い

受付カウンターで案内を受ける女性とスタッフ

手術そのものの説明に比べ、術後の過ごし方は情報が少ない領域です。

しかし回復の経過に関わる部分ですので、検討段階から把握しておく価値があります。

すぐに医療機関へ連絡すべき症状

まず、自己判断で様子を見てはいけない症状を把握しておいてください。

急に強くなる片側の腫れや痛み、出血が止まりにくい、息苦しさ、胸の痛み、発熱、傷からの膿のような排液、皮膚の色が急に白色・紫色・黒色に変化する、急に顔が動かしにくくなる、といった症状がある場合は、手術を受けた医療機関へ速やかに連絡してください。

これらは血腫、感染、皮膚の血流障害、神経の障害といった、早期の対応が重要な状態のサインである可能性があります。

夜間や休診時の連絡方法についても、手術前に必ず確認しておいてください。

傷の管理と洗髪

内視鏡リフトでは頭皮内に傷があるため、洗髪の開始時期や洗い方について具体的な指示が出されます。

切開リフトでも耳の周囲の傷を清潔に保つことが重要で、指示された方法での洗浄と、必要に応じた内服薬の使用が求められます。

いずれも自己判断でケアを変えず、担当医の指示に従ってください。

腫れを長引かせない過ごし方

術後しばらくは、血流が急に増える行為を避けることが基本になります。

激しい運動、長時間の入浴やサウナ、飲酒、喫煙は、腫れや内出血を強めたり、傷の治りに影響したりする可能性があります。

医療機関によっては、術後2週間程度は運動と飲酒を控えるよう案内されます。

睡眠時に頭をやや高くして休むことで、朝のむくみが軽くなると感じる方もいます。

うつ伏せ寝や、患部を強く圧迫する姿勢は避けたほうが無難です。

傷跡と肌のケア

傷跡の赤みが残る時期は紫外線の影響を受けやすく、色素沈着につながることがあります。

日焼け止めや帽子などで保護することが勧められます。

乾燥も刺激になりますので、指示の範囲で保湿を続けてください。

通院と経過観察

いずれの手術も、術後に定期的な診察を受けることで、経過の確認と早期の対応が可能になります。

当院では院長がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当する体制をとっています。

休診時や緊急時の連絡方法については、手術前にご確認ください。

効果の範囲と持続をどう考えるか

屋外のテラスで遠くを見る女性

「どのくらい保つのか」は、手術を決めるうえで最も気になる点です。

ただし、この問いには一律の答えがありません。

内視鏡リフトで期待できる変化

額の横ジワの軽減、下がっていた眉の位置の変化、それに伴って目元の印象が変化するといったことが期待されます。

中顔面に内視鏡を用いる術式は、頬骨のあたりの組織を引き上げる目的で行われますが、前額・眉のリフトとは適応も操作範囲も異なります。

一方で、皮膚を切除しない手術であるため、皮膚の余りが多い状態に対しては十分な変化を得にくいとされています。

また海外の文献では、術後に一定の戻りが生じうることが前提として扱われています。

切開リフトで期待できる変化

頬の下垂やフェイスラインのもたつきの改善が期待できます。

切開リフトでは、SMASなどの支持組織への操作と、余剰皮膚の切除を組み合わせる術式があります。

期待できる変化の範囲や経過は、術式、たるみの状態、皮膚の余りの程度、同時に行う治療などによって異なるため、他の治療との持続性を一律に比較することはできません。

また、どこにどの程度作用するかは切開範囲やSMASの処理方法によって異なります。

耳の前を中心とした一般的な術式では、下顔面やフェイスラインに作用しやすい一方、目の下や頬骨の上部といった中央の中顔面は十分に挙上できるとは限りません。

この領域のくぼみやボリュームの低下に対しては、ヒアルロン酸などの注入治療や脂肪注入の併用が必要になることもあります。

「戻り」をどう受け止めるか

どちらの手術も、加齢による変化そのものを止めるものではありません。

手術によって位置を変えた組織も、時間の経過とともに再び変化していきます。

効果が永久に続くわけではないという前提のうえで、どのくらいの間隔で次の選択肢を考えるのかを、治療計画として捉えておくことが現実的です。

効果のあらわれ方や持続期間には個人差があり、結果を保証するものではありません。

リスク・合併症の違いと、注意が必要な方

診察室で落ち着いて説明する眼鏡の男性医師

どちらも外科手術であり、一定のリスクを伴います。

ここは軽く扱わず、必ず事前に確認してください。

両者に共通するリスク

腫れ、内出血、痛み、感染、血腫(皮下に血液がたまった状態)、左右差、感覚の変化、つっぱり感、仕上がりがイメージと異なること、そして修正のための再手術が必要になる可能性が挙げられます。

まれではあるものの、皮膚の血流障害や創傷治癒不良が生じる可能性もあります。

麻酔に伴うリスクも共通します。

内視鏡リフトで特に注意される合併症

顔面神経の枝や感覚神経に関連して、眉が動かしにくくなる、しびれる、感覚が変化するといった症状が生じる可能性があります。

回復の程度や期間には個人差があり、症状が長引く場合や、まれに残る可能性もあります。

ほかに、切開部周辺の脱毛、左右差、引き上げた位置の戻り、修正手術の必要性が報告されています。

切開リフトで特に注意される合併症

顔面神経障害、皮膚壊死、創傷治癒不良、耳の周囲の形の変化、切開部周辺の脱毛や生え際の変化、漿液腫(組織の間に体液がたまる状態)、傷跡の目立ちなどが挙げられます。

なお、剥離する範囲や層、採用する術式によって、合併症の種類や発生のしやすさは異なります。

「範囲が広いほど一律にリスクが高い」と単純化できるものではないため、ご自身が受ける術式について個別に説明を受けてください。

リスクの種類内視鏡リフト切開リフト
神経に関連する症状眉の動かしにくさ、額のしびれ、感覚の変化顔面神経障害、耳周囲や頬の感覚の変化
皮膚・傷に関する症状切開部の脱毛、生え際の位置の変化傷跡の目立ち、色素沈着、皮膚壊死、創傷治癒不良
体液・出血に関する症状血腫、内出血の長期化血腫、漿液腫、内出血
仕上がりに関する症状左右差、戻り、変化が不十分に感じられること左右差、引きつれ感、変化が不十分に感じられること

いずれも発生の可能性がある症状であり、必ず生じるものではありません。

頻度や程度には個人差があります。

手術を受けられない方・注意が必要な方

妊娠中・授乳中の方、出血傾向のある方、抗凝固薬や抗血小板薬を使用している方、糖尿病など傷の治りに影響する持病のある方、ケロイド体質の方、喫煙習慣のある方は、手術が受けられない場合や、延期・事前の調整が必要になる場合があります。

創傷治癒のリスクは年齢だけで決まるものではありません。

糖尿病などの持病、喫煙歴、服薬状況、血圧のコントロール状況、皮膚と全身の状態によって異なるため、術前に十分な評価が必要です。

どちらが適しているか|判断の視点と、併用という選択肢

テーブルの資料を一緒に見比べる女性と医師

ここまでの内容を踏まえ、実際の判断に使える視点を整理します。

年齢だけで決まるものではなく、複数の要素を組み合わせて考えることが重要です。

気になっている部位から考える

額のシワ、眉の下がり、目元の重さが主訴であれば、内視鏡を用いた上顔面の手術が検討対象になります。

頬の下垂、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスラインのもたつき、顎下から首のゆるみが主訴であれば、切開リフトが検討対象になります。

皮膚の余りの程度から考える

皮膚の余りがまだ目立たず、組織の下垂が中心であれば、皮膚を切除しない方法でも変化を得られる可能性があります。

皮膚そのものが伸びて余っている状態では、余剰皮膚を処理できる手術のほうが適していると判断されることが多くなります。

この見極めは、実際に触診を含めた診察を行わないと判断できません。

傷跡の位置と休業できる期間から考える

髪で覆える位置に傷を置きたい、休業できる期間が限られているといった条件も、術式選択の要素になります。

ただし、条件を優先した結果、たるみの状態に対して作用が足りない術式を選んでしまうと、期待した変化を得られないことがあります。

また、実際の経過は個人差が大きいため、希望する日数だけで術式を決めることはできません。

優先順位と適応の両方を照らし合わせて判断してください。

判断の視点内視鏡リフトが検討されやすい状態切開リフトが検討されやすい状態
気になる部位額・眉・こめかみ頬・ほうれい線・フェイスライン・首
皮膚の余り目立たない目立ってきている
たるみの程度軽度~中等度中等度~進んだ状態
傷跡の位置髪で覆える位置に置きたい耳の周囲でよい
生え際の条件生え際が後退している場合は要相談髪型と切開範囲を相談

表は判断の入り口を整理したものであり、この表だけで適応が決まるわけではありません。

併用という選択肢

二つの手術は対象部位が異なるため、対立する選択肢ではなく、組み合わせて計画される場合があります。

上顔面と下顔面の両方に変化を希望される方では、時期をずらして段階的に行う方法も含めて検討されます。

また、頬の脂肪量が多く輪郭のもたつきに脂肪が関与している場合は、小顔脂肪吸引の併用が検討されることがあります。

目の下のくぼみや頬骨部のボリューム低下が目立つ場合は、注入治療の併用が選択肢になります。

何をどう組み合わせるかは、診察で顔全体を評価したうえで判断されるべき事項です。

費用と将来の治療計画、医師選びで確認したいこと

カウンターで書面に目を通す女性

最後に、検討を進めるうえで確認しておきたい実務的な項目を整理します。

費用の考え方

内視鏡リフトも切開リフトも自由診療です。

施術範囲、麻酔の方法、術前検査、薬代、術後の診察や処置、修正対応の条件などによって総額が変わります。

表示された施術料金に何が含まれ、何が別途必要になるのかを、契約前に書面で確認してください。

あわせて、支払いの時期、キャンセルの規定、術後対応の範囲も確認しておくと安心です。

費用の比較だけで手術を選ぶことは避けたほうがよいと考えます。

費用に加えて、適応、術式、リスク、麻酔と術後の管理体制、通院体制、修正対応の条件を含めて比較してください。

当院の切開リフトの施術内容・費用・主なリスク

自由診療についての情報提供として、当院で扱う切開リフトの概要を記載します。

項目内容
施術名FTB式SMASフェイスリフト
施術内容耳の周囲を切開し、皮膚とSMASなどの支持組織を処理して引き上げ、余剰皮膚を処理する手術です。切開範囲により、耳珠軟骨までのLongと、耳下までのExlongがあります。固定バンド・ドレーン・抜糸を用いない設計を採用しています。
費用(税込・定価)Long 880,000円/Exlong 1,320,000円。FTBリフトを追加する場合は1本あたり77,000円。
モニター制度適用条件を満たす場合に別料金が設定されています。条件は診察時にご確認ください。
別途必要になる場合があるもの術前検査、麻酔の種類による差額、内服薬・外用薬、術後の追加処置、修正や再手術に関する費用。
主なリスク・副作用腫れ、内出血、痛み、感染、血腫、漿液腫、左右差、感覚の変化、つっぱり感、傷跡、脱毛、創傷治癒不良、皮膚壊死、顔面神経障害、修正のための再手術。いずれも個人差があります。
通院経過観察のための再診があります。

料金は改定される場合があります。

最新の費用と条件は、切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)のページでご確認ください。

なお、内視鏡リフトの費用については、その術式を実施している医療機関にご確認ください。

将来の治療計画という視点

手術を受けた後も加齢による変化は続きます。

追加の治療や、場合によっては再手術が検討されることもあります。

これは切開リフトでも内視鏡リフトでも同様です。

「一度受ければ終わり」ではなく、数年単位でどう付き合っていくかという視点で計画を立てておくと、判断がぶれにくくなります。

医師・クリニックを選ぶときの確認ポイント

手術の内容だけでなく、情報がどれだけ具体的に開示されているかを確認してください。

担当医の経歴や所属学会、扱っている術式の内容、合併症が生じた場合の対応方針、術後の通院体制と緊急時の連絡方法が明示されているかは、客観的に比較できる項目です。

カウンセリングでは、どの層をどこまで剥離するのか、固定はどのように行うのか、自分のたるみの状態に対してその術式が適していると判断した理由は何か、を具体的に尋ねてみてください。

なりたいイメージを画像で共有すると、認識のずれを減らしやすくなります。

医師選びの考え方については、切開リフトの医師の選び方をまとめた記事で詳しく整理しています。

当院では、院長の小林がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当する体制をとっています。

適応の判断は診察を行ったうえで行いますので、適応・費用・リスク・術後対応を確認したうえで、治療を受けるかどうかをご自身でご判断ください。

まとめ

クリニックのエントランスに立つ女性

内視鏡リフトと切開リフトは、名前が似ていることから同じ土俵で比べられがちですが、実際には作用する部位も、手を加える層も、余った皮膚の扱い方も異なる治療です。

額や眉、こめかみといった上顔面の変化に対しては内視鏡を用いた手術が、頬から下顔面、フェイスラインの下垂に対しては切開リフトが検討されるというのが、大まかな住み分けになります。

なお「内視鏡リフト」は複数の術式を指す言葉であり、中顔面に用いる内視鏡手術は前額・眉のリフトとは別の術式として個別に確認する必要があります。

判断の軸となるのは、気になっている部位がどこか、皮膚の余りがどの程度かという二点です。

皮膚の余りが目立たず組織の下垂が中心であれば皮膚を切除しない方法にも検討の余地があり、皮膚そのものが伸びてきている状態では余剰皮膚を処理できる手術のほうが適していると判断されやすくなります。

これは触診を含めた診察を経なければ見極められない部分です。

選択にあたっては、費用や傷跡の位置といった一つの条件だけで決めず、ダウンタイム、リスク、作用する範囲、麻酔と術後の管理体制、将来的に追加の治療が必要になる可能性まで含めて総合的に考えてください。

どちらの手術にも神経に関連する症状や脱毛、血腫といったリスクがあり、持病や服薬の状況によっては受けられない場合もあります。

抗凝固薬や抗血小板薬を使用している方は、自己判断で中止せず、必ず処方医と手術担当医の指示に従ってください。

また、効果のあらわれ方や持続期間、ダウンタイムの経過にはいずれも大きな個人差があり、本記事の内容は結果を保証するものではありません。

手術は加齢による変化そのものを止めるものではなく、その後も変化は続いていきます。

術後に急な腫れや痛み、発熱、皮膚の色の変化などがあった場合は、自己判断せず速やかに医療機関へ連絡してください。

当院では、切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)を中心に、たるみの状態を診察したうえで適した方法をご提案しています。

カウンセリングから手術、術後の経過観察までを院長が担当する体制をとっています。

どの方法が自分に合うのか判断がつかない段階でも構いませんので、適応・費用・リスク・術後の対応を確認したうえでご判断いただけるよう、まずは診察でご相談ください。

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参考資料

本記事は、形成外科・美容外科領域の総説および学会・行政機関が公開する情報をもとに作成しています。

施術の適応、術式、費用、リスク、ダウンタイムは個別に異なるため、診察時に担当医へご確認ください。

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