切開リフトの術後に、頬や耳のまわりが張っている、口を大きく開けると引っぱられる感じがする、と不安を感じている方は少なくありません。
これから手術を検討している方にとっても、「術後ずっと顔がつっぱったままになるのでは」という心配は、決断をためらう理由の一つになりがちです。
つっぱり感は目に見えにくい症状のため、今の状態が順調な経過なのか、医師に相談すべきなのかを自分で判断するのが難しいという声もよく聞かれます。
原因や回復の目安を知っておくと、経過を観察する際の参考になり、医療機関へ相談するタイミングも判断しやすくなります。
切開リフト後のつっぱり感は、顔の層構造と、傷が治っていく過程での体の反応から説明できます。
仕組みを知っておくと、時期ごとの変化を落ち着いて受け止めやすくなり、反対に見過ごしてはいけないサインにも気づきやすくなります。
そこで本記事では、切開リフト(フェイスリフト)後のつっぱり感やひきつれ、硬さについて、原因、出やすい部位、時期別の経過の目安、日常でできる対処、医師に相談すべきサインまでを順に解説します。
なお、記載する経過はあくまで一般的な目安であり、症状のあらわれ方や回復の期間には個人差があります。
【記事執筆】福岡天神美容クリニック 院長 小林直樹
切開リフト後のつっぱり感とは|ひきつれ・硬さとの違い

術後に感じる「つっぱり」は、人によって表現がさまざまです。
まずは、つっぱり感がどのような感覚なのか、似た言葉とどう違うのかを整理しておきましょう。
つっぱり感はどんな感覚か
つっぱり感とは、皮膚やその下の組織が張っている、引っぱられている、突っ張っていると感じる状態を指します。
「マスクを着けているような張り」「笑うと頬が引っかかる感じ」「口を大きく開けにくい」と表現されることが多い症状です。
切開リフトでは、皮膚の下の組織を広い範囲ではがし、たるんだ組織を引き上げて固定します。
そのため、手術のあと一定の期間は、顔の組織が新しい位置になじむまでの張りを感じるのが一般的です。
「ひきつれ」「硬さ」「拘縮」との言葉の整理
つっぱり感と近い言葉に、ひきつれ、硬さ、拘縮(こうしゅく:傷が治る過程で組織が硬く縮んだように感じる状態)があります。
これらは医学的に厳密に区別されているわけではなく、同じ変化を患者さんがそれぞれの言葉で表現していることもあります。
一般的には、表情を動かしたときに引っぱられる感覚を「ひきつれ」、触ったときに皮膚の下が板のように感じられる状態を「硬さ」と表現することが多いようです。
診察では、「動かすとつっぱる」のか「触ると硬い」のか、あるいはその両方なのかを分けて伝えると、経過の評価がしやすくなります。
しびれ・痛みとの違い
つっぱり感と同時に起こりやすいのが、しびれと痛みです。
しびれは皮膚の感覚を伝える知覚神経の働きが一時的に低下して生じる症状で、触っても分かりにくい、ピリピリするといった感覚として自覚されます。
痛みは、切開や剥離(はくり:組織と組織の間をはがす操作)による炎症の反応で、時間とともに軽くなっていくのが一般的な経過です。
しびれについては切開リフト後のしびれを解説した記事、痛みの時期別の経過については切開リフトの痛みを解説した記事で詳しく紹介しています。
| 症状 | 主に関わる組織や反応 | よくある感じ方 | 相談の目安 |
|---|---|---|---|
| つっぱり感・ひきつれ | 腫れ、傷が治る過程の組織の変化、引き上げた組織の張り | 張っている、笑うと引っぱられる、口を開けにくい | 時間がたっても強くなる、左右差が広がる |
| 硬さ | 傷が治る過程でつくられる線維組織 | 触ると皮膚の下が硬い、しこりのように感じる | 数か月たっても変化がない、しこりが大きくなる |
| しびれ | 皮膚の感覚を伝える知覚神経 | 触っても分かりにくい、ピリピリする | 範囲が縮まらない、強い痛みを伴う |
| 痛み | 切開部や剥離した組織の炎症 | ズキズキする、押すと痛い | 急に強くなる、片側だけ悪化する |
切開リフト後につっぱり感が起こる原因|顔の層構造と傷が治る仕組み

つっぱり感の原因は一つではなく、いくつかの要因が重なって生じます。
ここでは、切開リフトが顔のどの層に手を加える手術なのかを確認したうえで、主な原因を順に整理します。
顔は複数の組織が重なり合う多層構造
顔の軟部組織は、皮膚、皮下脂肪、SMAS(スマス:表在性筋膜と呼ばれ、皮膚と表情筋の間にある膜状の組織で、表情筋と連続した複合体をつくる)、支持靭帯(しじじんたい:リガメントとも呼ばれ、深い組織と浅い組織をつなぎ止める線維性の構造)、深部脂肪、そして骨格が関わる多層構造になっています。
これらは単純に縦一列に並んでいるのではなく、部位によって位置関係や厚みが異なります。
加齢によるたるみは、皮膚のゆるみだけでなく、脂肪の移動や減少、SMASや支持靭帯の支える力の変化などが組み合わさって生じます。
切開リフトは、耳のまわりなどを切開し、皮膚とSMASを含む組織を剥離して引き上げ、余った皮膚を切除して縫い合わせる手術です。
術後の腫れ(むくみ)による内側からの張り
手術で剥離した範囲では、細い血管やリンパの流れが一時的に変化し、組織の中に水分がたまりやすくなります。
これが術後の腫れやむくみで、皮膚が内側から押し広げられるため、張ったような感覚やつっぱり感として自覚されます。
術後早い時期のつっぱり感は、このむくみによるものが大きいと考えられます。
腫れが落ち着いてくるにつれて張りもやわらいでいくのが一般的な経過ですが、腫れの程度や引き方には個人差があります。
傷が治る過程でつくられる瘢痕組織による硬さ
体は傷を治すとき、炎症期、増殖期、成熟期(リモデリング期)という段階を経て組織を修復します。
増殖期にはコラーゲンなどの線維がつくられて傷をつなぎ合わせますが、この段階の線維は並び方が不規則なため、触ると硬く、動かすと引っかかるように感じられることがあります。
こうして傷の周囲や剥離した面にできる組織は瘢痕(はんこん:傷が治る過程でできる線維性の組織)と呼ばれます。
瘢痕は成熟期に入ると少しずつ整理され、数か月から1年ほどかけてやわらかくなっていくとされていますが、その速さには個人差があります(参考資料1)。
引き上げた組織が新しい位置になじむまでの張力
切開リフトでは、たるんだSMASを含む組織を引き上げて新しい位置で固定します。
組織が新しい位置で落ち着くまでの間は、引き上げた方向への張りを感じやすくなります。
とくに、口を大きく開ける、大きく笑う、首を大きく回すといった動作では、固定した組織に力がかかるため、つっぱり感を自覚しやすくなります。
この張りは、組織がなじんでいくにつれて目立たなくなっていくことが多いですが、感じ方や期間は術式や引き上げの方向、たるみの状態によって異なります。
知覚の変化がつっぱり感として感じられることもある
剥離した範囲では、皮膚の感覚を伝える細い知覚神経が一時的に影響を受け、感覚が鈍くなることがあります。
感覚が鈍い部分は「自分の皮膚ではないような感じ」と表現されることがあり、これをつっぱり感として受け止める方もいます。
つまり、術後に感じる張りは、むくみ、瘢痕による硬さ、組織の張力、感覚の変化が重なった結果であることが多いのです。
どの要因が中心になっているかは時期によって変わるため、経過の中で感じ方の変化を見ていくことが大切です。
つっぱり感が出やすい部位と場面

つっぱり感は顔全体に均一に出るわけではなく、切開や剥離を行った位置、引き上げの方向によって出やすい部位があります。
ここでは、術後につっぱり感を自覚しやすい代表的な部位と場面を紹介します。
耳の前から頬の外側
耳の前は切開線の近くにあたり、剥離や引き上げの影響を受けやすい部位です。
頬の外側からフェイスラインにかけて、張りや硬さを感じる方がいます。
この部位の硬さは、傷が治る過程でできる瘢痕とむくみが重なって生じることが多いと考えられます。
耳のまわりの傷跡の経過については、切開リフトの傷跡を時期別に解説した記事も参考にしてください。
耳の後ろ・首の上部
術式によっては、切開線が耳の後ろから生え際に及び、首の上部まで剥離を行うことがあります。
この場合、首を回したり下を向いたりしたときに、耳の後ろから首にかけてつっぱり感を覚えることがあります。
首まわりは日常の動作で動かす機会が多いため、張りを自覚しやすい部位です。
術後しばらくは、急に首を大きくひねる動作を避けるよう指示されることもあります。
こめかみから頭皮にかけて
こめかみや頭皮側に処置を行う術式では、頭皮のつっぱり感や頭痛を感じることがあります。
当院の施術ページでも、リスク・副作用として、頭痛や頭皮のつっぱり感が1週間から2週間ほど生じることがあると案内していますが、実際の経過には個人差があります。
頭皮のつっぱり感は、髪を結ぶ、ブラッシングをするといった動作で気になることがあります。
術後の美容院の利用や髪の扱いについては、術後の時期に応じた担当医の指示に従ってください。
口を開ける・笑うなど表情を動かしたとき
つっぱり感は、じっとしているときよりも、表情を動かしたときに強く感じられることがよくあります。
大きな口を開けて食事をする、大きく笑う、あくびをするといった場面で、頬や口元が引っぱられるように感じる方がいます。
術後早い時期は、口を開けにくいと感じることもありますが、多くは腫れとむくみの影響によるものと考えられます。
ただし、表情の動きそのものに左右差がある、口角が上がりにくいといった場合は、つっぱり感とは別の問題が隠れていることもあるため、担当医に相談してください。
つっぱり感はいつまで続く?時期別の経過の目安

「つっぱり感はいつまで続くのか」は、術後の方がもっとも知りたい点だと思います。
ただし、回復の時期は術式、剥離の範囲、同時に行った施術、体質、喫煙や持病、服薬の状況などによって変わり、一律に何か月と言い切ることはできません。
当院の施術ページでは、腫れについて術後2週間から4週間でより自然になり、最終的な完成は術後2か月から6か月ごろ、傷跡の完成は半年後と案内しています。
以下は、こうした当院の案内と一般的な傷の治り方をもとにした目安です。
この表は全員に当てはまるものではなく、術式、処置範囲、同時施術、体質、既往歴、服薬、喫煙状況などにより経過は異なります。
症状が強い、改善傾向がない、または悪化する場合は、表の時期にかかわらず手術を受けた医療機関へご相談ください。
| 時期 | みられやすい状態 | 過ごし方のポイント |
|---|---|---|
| 手術当日から2週間 | 腫れやむくみが強くみられやすく、顔全体の張りや口の開けにくさを感じやすい時期 | 指示された冷却と安静を守り、大きな口や強い表情は控える |
| 術後2週間から1か月 | 腫れが落ち着いてくるにつれ、張りがやわらいでくる方がいる時期 | 保湿と紫外線対策を続け、自己流のマッサージは控える |
| 術後1か月から3か月 | 腫れが引いたあとに、耳の前などの硬さが目立って感じられる方もいる時期 | 硬さの範囲や左右差の変化を記録し、経過観察で伝える |
| 術後3か月から6か月 | 硬さやつっぱり感が徐々にやわらいでいく方がいる時期 | 医師の許可があれば、指示された方法でケアを取り入れる |
| 術後6か月以降 | 傷跡や組織の変化がゆるやかに落ち着いていく時期。最終的な評価の時期は術式と個人差により異なる | 気になる硬さや左右差は診察で評価を受ける |
手術当日から2週間
この時期は、腫れやむくみ、内出血が重なり、つっぱり感をもっとも強く感じやすい時期です。
当院の施術ページでは、腫れのピークを3日目程度と案内していますが、腫れの程度や引き方には個人差があります。
口を大きく開けにくい、表情がこわばるといった感覚も、この時期にはみられることがあります。
冷却の方法や時間、就寝時の姿勢などは担当医の指示に従い、無理に顔を動かそうとせずに過ごしてください。
術後2週間から1か月
腫れが落ち着いてくると、顔全体の張りがやわらぎ、表情も動かしやすくなってくる方が増えてきます。
一方で、腫れが引いたことで、耳の前やフェイスラインの一部に残る硬さに気づくことがあります。
この時期は、傷が治る過程で線維がつくられている段階にあたります。
「早くやわらかくしたい」という気持ちから強く揉んだりすると、かえって腫れや内出血を悪化させるおそれがあるため、ケアの方法は担当医の指示を優先してください。
術後1か月から3か月
腫れがかなり落ち着いた一方で、「治ってきたはずなのに硬くなった気がする」と不安になりやすい時期です。
これは、傷が治る過程でつくられた瘢痕が、成熟に向かう途中で硬く感じられることがあるためと考えられます。
この時期の硬さは、時間とともにやわらいでいくことが多いとされています。
ただし、硬さの範囲が広がる、しこりが大きくなる、左右差が目立ってきたといった場合は、経過観察の際に担当医へ伝えてください。
術後3か月から6か月
傷が治る過程が成熟期に入り、瘢痕が少しずつ整理されていくことで、硬さやつっぱり感がやわらいでいく方がいる時期です。
表情を動かしたときの引っかかりも、気にならない程度に落ち着いてくることがあります。
ただし、回復の速さには個人差があり、この時期になっても一部に張りが残る方もいます。
「以前と比べて変化しているかどうか」を目安に、気になる点は遠慮なく相談してください。
術後6か月以降と、経過に差が出る主な要因
傷跡や組織の変化は、6か月から1年ほどかけてゆるやかに落ち着いていくとされています(参考資料1)。
一部に軽い硬さや張りが残る場合もあり、その程度や期間には個人差があります。
経過に差が出る主な要因には、剥離の範囲や術式、同時に行った施術、腫れや内出血の程度、体質、喫煙、持病、服薬の状況などがあります。
ダウンタイム全体の経過については、切開リフトのダウンタイムを解説した記事もあわせてご覧ください。
つっぱり感をやわらげるために日常でできる対処

つっぱり感は、時間の経過とともに落ち着いていくことが多い症状です。
ここでは、回復を妨げないために術後の生活で意識しておきたいポイントを紹介しますが、具体的な方法や開始時期は必ず担当医の指示を優先してください。
担当医の指示に沿った冷却と就寝時の姿勢
術後早い時期のつっぱり感は、腫れやむくみによるものが大きいため、腫れを悪化させない過ごし方が基本になります。
就寝時の姿勢や冷却の要否・方法は術式や経過によって異なるため、担当医から指示がある場合は、その範囲で頭を高くして休む、冷却を行うなどの術後ケアを行ってください。
剥離した範囲は感覚が鈍くなっていることがあり、冷やしすぎに気づきにくい場合があります。
冷却を行う場合も、保冷剤は直接肌に当てずにタオルで包み、冷やしすぎや長時間の冷却は避けてください。
大きな口を開ける・強い表情をつくる動作は控えめに
術後しばらくは、大きな口を開ける、強く笑う、硬い物を噛みしめるといった動作で、引き上げた組織や傷に力がかかりやすくなります。
食事は小さく切って少しずつ口に運ぶ、やわらかい物を選ぶなどの工夫をすると、つっぱり感を感じにくくなります。
表情をまったく動かさないようにする必要はありませんが、無理に大きく動かして張りをほぐそうとするのは避けてください。
自然に表情を動かせる範囲で過ごすことが大切です。
保湿と紫外線対策で皮膚のコンディションを整える
術後の皮膚は乾燥しやすく、乾燥が進むと張りやかゆみを強く感じることがあります。
洗顔、保湿剤、日焼け止め、メイクの開始時期や使用する製品は傷の状態によって異なるため、創部への使用可否を担当医に確認し、こすらずに使用してください。
また、傷跡は紫外線にあたると色素沈着を起こしやすくなります。
当院でも術後は十分な紫外線対策をお願いしており、担当医の指示の範囲で日焼け止めや帽子、日傘などを使って傷跡を守ることが大切です。
マッサージは医師の許可が出てから、指示された方法で
硬さが気になると、自分で揉みほぐしたくなるかもしれません。
しかし、傷が治る過程が活発な時期に強い刺激を加えると、腫れや内出血が長引いたり、傷跡の治りに影響したりするおそれがあります。
マッサージやストレッチを取り入れるかどうか、始める時期や強さ、方法は、術式や経過によって異なります。
自己流で始めるのではなく、経過観察の際に担当医の判断を確認してから行ってください。
入浴・飲酒・運動・喫煙は指示された時期まで控える
長時間の入浴やサウナ、飲酒、激しい運動は、血行を急に良くして腫れや出血を悪化させることがあります。
これらの再開時期は、担当医から指示された時期を守るようにしてください。
喫煙は皮膚の血流を低下させ、傷の治りを遅らせる要因として知られています。
術後の生活上の注意点や再開時期の目安については、切開リフト後の洗顔・入浴・運動の再開時期を解説した記事も参考にしてください。
つっぱり感で医師に相談・受診すべきサイン

つっぱり感の多くは、時間とともに落ち着いていく術後の変化です。
しかし、なかには合併症が隠れていることもあるため、次のようなサインがあるときは自己判断で様子を見続けず、手術を受けた医療機関に相談してください。
すぐに医療機関へ連絡すべき症状
次のような症状は、血腫(けっしゅ:皮膚の下に血液がたまること)や感染、皮膚の血流障害など、早めの対応が必要な状態のサインである可能性があります(参考資料3・4)。
時間帯にかかわらず、手術を受けた医療機関へ連絡してください。
| 症状 | 考えられる状態の例 |
|---|---|
| 片側だけが急に強く腫れる、痛みやつっぱり感が急に強くなる | 血腫など |
| 止まりにくい出血がある | 出血、血腫など |
| 発熱、傷からの膿のような排液、赤みや熱感が広がる | 感染など |
| 皮膚の色が白っぽい、紫色、黒っぽく変化する | 皮膚の血流障害など |
| 急に顔が動かしにくくなった、動かしにくさが進んでいく、口角や眉の動きに明らかな左右差が出た | 顔面神経への影響など |
| 息苦しさ、胸の痛み、意識がぼんやりする | 全身的な合併症など(119番を優先) |
息苦しさ、強い胸の痛み、意識がぼんやりする、全身の状態が急に悪くなるといった緊急性が高い症状があるときは、119番への救急要請を優先してください。
夜間や休診日の連絡方法は、手術前に必ず確認しておきましょう。
急ぎではなくても、硬さやしこりが広がってきた、赤みや熱感が続く、口の開けにくさが改善しない、これまでの経過と異なる左右差が出てきたといった場合は、次回の経過観察を待たずに早めに相談してください。
軽い硬さやつっぱり感があっても、少しずつやわらいでいる場合は、定期の経過観察の際に伝えれば問題ないことが多いですが、判断に迷うときは遠慮なく連絡してください。
つっぱり感や痛みが日を追うごとに強くなるとき
術後のつっぱり感や痛みは、通常、日がたつにつれて軽くなっていきます。
反対に、時間がたっても強くなっていく、一度おさまったあとにぶり返すといった場合は、血腫や感染などが隠れている可能性があります。
痛み止めを自己判断で増やして様子を見るのではなく、症状の変化を担当医に伝えてください。
いつから、どの部位が、どのように変化したのかを記録しておくと、状態を正確に伝えやすくなります。
左右差がどんどん広がっていると感じるとき
術後早い時期の左右差は、腫れの引き方の違いによって生じていることが多く、腫れが落ち着くにつれて目立たなくなっていくのが一般的です。
一方、時間がたつにつれて左右差がむしろ広がっていく場合は、片側に血液や体液がたまっているなど、別の要因がないか確認が必要です。
変化を客観的に確認するには、同じ場所、同じ明るさで、正面と左右から定期的に自分で写真を撮っておく方法があります。
気になる変化があれば、経過観察の際に担当医に見てもらいましょう。
3か月以上たっても硬さやしこりが変わらないとき
術後3か月を過ぎても硬さがまったく変わらない、傷跡が赤く盛り上がってきたといった場合は、一度診察で評価を受けることをおすすめします。
傷跡が赤く盛り上がる状態は肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん:傷跡が赤く盛り上がること)やケロイドの可能性もあります。
なお、3か月は相談の目安の一つであり、それまで待つ必要があるという意味ではありません。
しこりが大きくなる、急に痛む、赤みや熱感、排液があるといった場合は、時期を待たずに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
硬さや傷跡の状態によっては、経過観察を続けるほか、外用薬、注射、圧迫やシリコーン製剤、手術などを含めて、医師が個別に対応を検討します(参考資料2)。
どの対応が適しているかは硬さの原因や時期によって異なるため、自己判断で市販のケア用品を試し続けるより、まずは担当医に相談してください。
口が開けにくい状態や表情の不自然さが続くとき
口が開けにくい状態は、術後早い時期には腫れの影響で起こることが多いものの、時間がたっても改善しない場合は評価が必要です。
また、表情を動かしたときに口角や眉の動きに左右差がある場合は、表情筋を動かす顔面神経(がんめんしんけい:表情をつくる筋肉を動かす運動神経)への影響も含めて確認する必要があります。
顔面神経は多くの部位でSMASより深い層を走行しますが、部位によって位置関係は変化します(参考資料3)。
顔面神経の障害を含む切開リフトの合併症全体については、切開リフトのデメリットとリスクを整理した記事で詳しく解説しています。
つっぱり感のリスクを理解するために術前に確認したいこと

つっぱり感は、切開リフトを受ける以上、ある程度は想定しておきたい術後の変化です。
手術を決める前に次の点を確認しておくと、術後の経過をイメージしやすくなり、不安を減らすことにつながります。
術式・剥離の範囲・引き上げ方
切開の位置や長さ、剥離する範囲や層、組織をどの方向にどの程度引き上げるかは、術式やたるみの状態によって異なります。
剥離する範囲や層、術式によって、術後の腫れや硬さ、つっぱり感の出方も変わってきます。
皮膚だけを強く引っぱると、引きつれや不自然な表情につながるおそれがあるとされています。
カウンセリングでは、どの層をどのように引き上げる予定なのか、術後にどの部位がつっぱりやすいのかを具体的に質問しておくとよいでしょう。
体質・持病・服薬・喫煙の申告
ケロイド体質や、傷跡が盛り上がりやすい体質の方は、傷の治り方や硬さの経過に影響することがあります。
糖尿病などの持病がある方、喫煙される方も、傷の治りが遅れる要因となることがあるため、術前に正確に申告してください。
抗凝固薬、抗血小板薬、アスピリンや一部の鎮痛薬(NSAIDs:一般的な解熱鎮痛薬の一群)、サプリメントなどは、手術や出血のリスクに影響する場合があります。
ただし、自己判断で休薬・中止すると血栓症など重大な健康被害につながることがあるため、使用中の薬剤とサプリメントを処方医と執刀医の両方に申告し、必ず指示を受けてください。
術前の準備については切開リフトの術前注意点を解説した記事で詳しく紹介しています。
術後の経過観察の予定と相談体制
術後の経過観察の予定と、つっぱり感や硬さが気になったときの相談方法も、術前に確認しておきたい点です。
経過観察の来院時期、来院以外の相談手段、夜間や休診日に症状が出たときの連絡方法を把握しておくと、術後に不安を抱え込まずに済みます。
カウンセリングで確認しておきたい項目については、切開リフトのカウンセリングで聞くべきことを解説した記事も参考にしてください。
当院の切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の費用・リスク・通院

ここでは、当院(福岡天神美容クリニック)で行っている切開リフトについて、施術内容、費用、通院、主なリスクを紹介します。
適応の可否や具体的な施術内容は、診察を行ったうえで判断します。
施術内容・費用・通院回数
当院のFTB式SMASフェイスリフトは、SMAS切開リフトに、当院でFTBリフトと呼んでいる糸による補助的な処置を組み合わせたセットメニューです。
耳周りのシワに沿って切開を行い、SMASを含む組織を引き上げてリフトアップを図ります。
縫合には皮膚表面の抜糸を必要としない方法を用いていますが、創部の状態確認や術後の診察は必要です。
使用する糸の種類や承認状況、必要本数の考え方、追加費用、期待される変化と固有のリスクは、診察時に個別にご説明します。
| 項目 | 内容(2026年9月時点) |
|---|---|
| 施術名 | FTB式SMASフェイスリフト(FTBリフト二本込み) |
| 施術時間 | 手術操作の目安は60分から80分。診察・準備・麻酔・術後の観察を含む院内の滞在時間は別途 |
| 手術と術後の診察 | 手術は1回(抜糸なし)。術後は1週間後、1か月後、2か月後に経過観察の来院あり(経過により変わる場合があります) |
| Long | 定価800,000円(税込880,000円)/モニター価格500,000円(税込550,000円) |
| Exlong | 定価1,200,000円(税込1,320,000円)/モニター価格800,000円(税込880,000円) |
| FTBリフト追加(1本ごと) | 定価70,000円(税込77,000円)/モニター価格40,000円(税込44,000円) |
| 別途必要になりうる費用 | 術前検査、麻酔、処方薬、術後の診察、追加の処置、修正や再手術などの費用が表示価格に含まれるかどうかは、治療内容により異なります。総額は手術を決める前にご確認ください |
モニター価格の適用には条件があります。
写真の使用範囲や掲載媒体・期間、顔が写るかどうか、キャンセル時の取り扱いを含むモニター価格の適用条件、表示価格に含まれる項目と別途費用となる可能性がある項目、麻酔の方法は、手術を決める前の診察で必ずご確認ください。
料金は改定される場合がありますので、最新の内容は切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の施術ページでご確認ください。
本施術は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。
当院の切開リフトは、固定バンドやドレーンを一律に使用する方法ではありませんが、この方法が適用できるかどうかは診察で判断します。
術後の保護や冷却・圧迫などのケアの内容と期間は、手術内容や術中・術後の状態に応じて医師が判断して術前にご説明し、この設計によって腫れやつっぱり感などの術後の変化がなくなるわけではありません。
主なリスク・副作用と受けられない場合
切開リフトの主なリスク・副作用には、腫れ、内出血、痛み、頭痛や頭皮のつっぱり感、硬さやひきつれ、しびれや感覚の鈍さ、傷跡の赤みや色素沈着、肥厚性瘢痕、左右差、血腫、漿液腫(しょうえきしゅ:皮膚の下に体液がたまること)、感染、皮膚の血流障害や壊死、創傷治癒不良、脱毛や生え際の変化、耳周囲の形の変化、顔面神経の障害、麻酔に伴うリスク、再手術の可能性があります。
妊娠中・授乳中の方、出血しやすい体質の方、抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方、コントロールが不十分な糖尿病などの持病がある方、ケロイド体質の方、喫煙される方は、施術を受けられない場合や、慎重な検討が必要な場合があります。
効果のあらわれ方やダウンタイムの経過には個人差があり、結果を保証するものではありません。
術後の経過観察と相談体制
当院では、原則として院長の小林がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。
施術後の経過はLINEでもご相談いただけますので、つっぱり感や硬さ、左右差など気になる変化があったときは、自己判断せずにお知らせください。
夜間や休診日に症状が出た場合の連絡方法と、術後の急な腫れや出血など、すぐに対応が必要な症状があるときの連絡の流れについては、手術前のご説明の際に必ずご確認ください。
切開リフトのつっぱり感に関するよくある質問

最後に、切開リフト後のつっぱり感について、カウンセリングでよく寄せられる質問を紹介します。
糸リフトやハイフでもつっぱり感は起こりますか?
糸リフトでは、挿入した糸の周囲の組織が落ち着くまでの間、口を開けたときなどにつっぱり感や引っかかりを感じることがあります。
ハイフ(HIFU:高密度の超音波を皮膚の下の一点に集めて熱を加える治療)でも、施術後に一時的な違和感やむくみを感じることがあります。
ただし、関わる組織や操作の範囲が切開リフトとは異なるため、症状の出方や経過も異なります。
切開リフトと他の治療のどちらにもそれぞれの特徴とリスクがあるため、たるみの状態やダウンタイムの許容範囲を含めて、診察で適した方法を相談してください。
つっぱり感があるのは手術が失敗したということですか?
術後に一定期間つっぱり感や硬さを感じることは、切開リフトで想定される術後の変化の一つとされており、それだけで手術の成否が決まるわけではありません。
大切なのは、時間の経過とともに感じ方がどのように変化していくかを確認することです。
一方で、つっぱり感が日を追うごとに強くなる、左右差が広がる、数か月たっても硬さがまったく変わらないといった場合は、別の評価が必要になることがあります。
不安な症状があれば、遠慮なく担当医に相談してください。
硬さをやわらげるためにマッサージをしてもよいですか?
マッサージが適しているかどうか、始める時期や方法は、術式や傷の状態、経過によって異なります。
術後早い時期に自己流で強く揉むと、腫れや内出血を悪化させるおそれがあるため、まずは担当医に確認してください。
医師の許可が出た場合も、指示された強さと方法を守ることが大切です。
美顔器やエステでのフェイシャルマッサージなど、外部での施術を受ける時期についても、事前に相談しておきましょう。
つっぱり感があっても仕事やメイクはできますか?
仕事や日常生活への影響は、腫れ、内出血、痛み、つっぱり感の程度に加え、仕事内容や人と対面する機会によって異なります。
デスクワークであっても、見た目の変化や経過観察の予定を考慮して、余裕のある予定を組むことをおすすめします。
当院の施術ページではシャワー、洗顔、化粧を当日から可能と案内していますが、実際の可否や開始時期は創部の状態によって異なるため、担当医の指示を優先してください。
メイクをする際は、張りや硬さのある部分を強くこすらないよう注意し、復帰の目安はご自身の予定に合わせて術前に相談しておくと安心です。
まとめ

切開リフト後のつっぱり感は、術後の腫れやむくみ、傷が治る過程でつくられる瘢痕による硬さ、引き上げた組織が新しい位置になじむまでの張力、剥離による感覚の変化などが重なって生じます。
耳の前から頬の外側、耳の後ろから首の上部、術式によってはこめかみや頭皮に出やすく、口を開ける、笑うといった動作で強く感じられることがあります。
経過の目安としては、腫れが強い術後2週間ごろまでがつっぱり感を感じやすく、1か月から3か月ごろに硬さが気になる時期を経て、数か月から1年ほどかけてゆるやかに落ち着いていく経過が一般的です。
ただし、回復の程度や期間には個人差があり、一部に張りや硬さが残る場合もあります。
術後は、指示された冷却と安静、保湿と紫外線対策を心がけ、マッサージは医師の許可が出てから指示された方法で行ってください。
片側だけの急な腫れや痛み、止まりにくい出血、発熱、皮膚の色の変化、顔の動かしにくさなどがあれば、すぐに手術を受けた医療機関へ連絡し、息苦しさや強い胸の痛みがある場合は119番への救急要請を優先しましょう。
本記事の内容は一般的な目安であり、結果や経過を保証するものではありません。
当院では、切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)について、原則として院長がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。
つっぱり感を含むリスクや術後の経過について詳しく知りたい方は、適応・費用・リスク・術後の対応を確認したうえでご判断いただけるよう、まずはカウンセリングのご予約のうえ、診察でご相談ください。
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記事執筆:福岡天神美容クリニック 院長 小林 直樹
小顔・輪郭専門医として、ダウンタイムを最小限に抑えた施術に注力。糸リフト、脂肪吸引、切開リフトなどで「腫れにくさ」「自然な仕上がり」を追求してきました。
これまでに顔の脂肪吸引だけで累計4,500件以上、総症例数は1万件超を経験。2024年には年間脂肪吸引症例数 日本一を獲得するなど、豊富な実績に裏打ちされた確かな技術を持ちます。
また、二重整形やくまとり、眉下切開、たれ目形成などの目元治療、ヒアルロン酸・ボトックス注入などの若返り治療も得意分野。丁寧なカウンセリングと万全のアフターフォローで、患者様一人ひとりに寄り添った美容医療を提供しています。
「安心して任せられる美容医療」を信条に、理想の美しさと満足をお届けいたします。
【所属学会】
・日本美容外科学会(JSAS)
・アラガンボトックス認定医
・ジュビダームビスタ認定医
参考資料
本記事は、形成外科・美容外科領域の総説や研究報告、学会・行政機関が公開する一般的な情報をもとに作成しています。
施術の適応、術式、費用、リスク、ダウンタイムは個別に異なるため、診察時に担当医へご確認ください。
- 参考資料1|傷が治る過程(炎症期・増殖期・成熟期)と瘢痕の成熟について:Wound Healing Phases(StatPearls, NCBI Bookshelf)
- 参考資料2|肥厚性瘢痕・ケロイドの評価と治療について:Scar Revision(StatPearls, NCBI Bookshelf)
- 参考資料3|フェイスリフトの解剖、術後経過、合併症、緊急受診のサインについて:Cervicofacial Rhytidectomy(StatPearls, NCBI Bookshelf)
- 参考資料4|フェイスリフトの短期合併症(血腫・皮膚の血流障害など)について:How to Prevent and Treat Complications in Facelift Surgery, Part 1: Short-Term Complications(Aesthetic Surgery Journal Open Forum)
- フェイスリフト術後の回復過程について:Face lift postoperative recovery(PubMed)
- フェイスリフトの合併症の予防と対応について:Complications in facelift surgery: avoidance and management(PubMed)
- 日本形成外科学会
- 日本美容外科学会(JSAPS)
- 厚生労働省 医療広告ガイドライン






