切開リフトを検討していると、ダウンタイムの腫れや傷跡と並んで気になるのが「術後のしびれ」です。
インターネットで調べると「耳のまわりの感覚がない」「頬を触っても分かりにくい」といった声が見つかり、手術に踏み切れずにいる方もいるかもしれません。
すでに手術を受けた方にとっても、しびれがいつまで続くのか、このまま様子を見てよいのかは切実な問題です。
感覚の鈍さは目に見えないぶん、経過の良し悪しを自分で判断しにくい症状でもあります。
しびれが起こる理由は、顔の層構造と、皮膚の下を走る細い神経の位置関係から説明できます。
仕組みを知っておくと、術後の変化を必要以上に怖がらずに済み、反対に見過ごしてはいけないサインにも気づきやすくなります。
そこで本記事では、切開リフト(フェイスリフト)後のしびれについて、原因となる神経の解剖、しびれが出やすい部位、時期別の経過の目安、生活上の注意点、受診すべきサインまでを順に解説します。
なお、記載する経過はあくまで一般的な目安であり、症状のあらわれ方や回復の期間には個人差があります。
【記事執筆】福岡天神美容クリニック 院長 小林直樹
切開リフト後のしびれとは|まず区別しておきたい3つの症状

術後に「顔がおかしい」と感じたとき、その正体は一つとは限りません。
しびれ、顔の動かしにくさ、痛みやつっぱり感は、関わる組織も経過の考え方も異なるため、最初に言葉を整理しておくことが大切です。
しびれ・感覚の鈍さ(知覚鈍麻)とはどんな状態か
医学的には、触った感じや温度、痛みを感じ取る力が落ちた状態を知覚鈍麻(ちかくどんま:皮膚の感覚が鈍くなること)と呼びます。
「皮膚の上に一枚膜が張っているよう」「触ると分かるが、自分の肌ではないような感じ」と表現されることが多い症状です。
回復の途中では、ピリピリ、チクチク、ジンジンといった異常な感覚が出ることもあります。
こうした感覚は知覚異常(ちかくいじょう:実際の刺激とは異なる感じ方をすること)と呼ばれ、鈍さとは別の形で「しびれ」と表現されます。
顔の動かしにくさ(運動神経の症状)とは別の問題として考える
しびれと混同されやすいのが、口角が上がりにくい、眉が上がらないといった「顔の動かしにくさ」です。
こちらは表情筋を動かす顔面神経(がんめんしんけい:表情をつくる筋肉を動かす運動神経)に関わる症状で、感覚を伝える神経とは役割がまったく異なります。
頬の感覚が鈍くても、表情の動きに明らかな左右差がない場合は、主に知覚神経の変化が考えられます。
ただし、感覚の変化と軽い動かしにくさが同時に起こることもあるため、判断に迷うときは担当医に確認してください。
本記事では主に知覚の変化を扱い、顔面神経の障害を含む合併症全体については切開リフトのデメリットとリスクを整理した記事で詳しく解説しています。
痛み・つっぱり感との違い
術後の痛みは、切開や剥離(はくり:組織と組織の間をはがす操作)そのものによる炎症の反応で、時間とともに軽くなっていくのが一般的な経過です。
つっぱり感は、引き上げた組織が落ち着くまでの張りや、腫れによる圧迫感として感じられることが多い症状です。
これに対してしびれは、感覚を伝える神経の働きが一時的または部分的に低下していることで生じます。
痛みとしびれは同時に出ることもあるため、「痛いのか、鈍いのか、動かしにくいのか」を分けて担当医に伝えると、経過の評価がしやすくなります。
術後の痛みの時期別の経過については、切開リフトの痛みを解説した記事も参考にしてください。
| 症状 | 主に関わる組織 | よくある感じ方 | 相談の目安 |
|---|---|---|---|
| しびれ・感覚の鈍さ | 皮膚の感覚を伝える知覚神経 | 触っても分かりにくい、ピリピリする | 範囲が縮まらない、強い痛みを伴う |
| 顔の動かしにくさ | 表情筋を動かす顔面神経 | 口角や眉が動かしにくい、左右で表情が違う | 気づいた時点で担当医へ連絡 |
| 痛み・つっぱり感 | 切開部・剥離した組織の炎症や腫れ | ズキズキする、張っている | 急に強くなる、片側だけ悪化する |
切開リフト後にしびれが起こる原因|顔の層構造と神経の位置関係

しびれの原因を理解するには、切開リフトが顔のどの層に手を加える手術なのかを知っておく必要があります。
ここでは、顔の層構造と神経の位置関係を順に整理します。
顔は複数の組織が重なり合う多層構造
顔の軟部組織は、皮膚、皮下脂肪、SMAS(スマス:表在性筋膜。皮膚と表情筋の間にある膜状の組織で、表情筋と連続した複合体をつくる)、支持靭帯(しじじんたい:リガメント。深い組織と浅い組織をつなぎ止める線維性の構造)、深部脂肪、そして骨格が関わる多層構造になっています。
これらの位置関係や厚みは部位によって異なり、単純に縦一列に積み重なっているわけではありません。
切開リフトでは、耳まわりの切開から皮膚と皮下組織を剥離し、SMASを含む支持組織を引き上げて固定したうえで、余った皮膚を処理します。
皮膚の表面だけを引っ張るのではなく、その下の土台ごと位置を整える手術であるため、ある程度の範囲で組織をはがす操作が必要になります。
皮膚の感覚を伝える細い知覚神経と剥離操作
皮膚の感覚は、深いところから枝分かれして皮膚に向かう細い知覚神経によって脳へ伝えられています。
皮膚と皮下組織を剥離すると、この皮膚に向かう細い枝の一部がどうしても影響を受けます。
そのため、剥離した範囲の皮膚に一時的な感覚の鈍さが出ることは、切開リフトで想定される術後の変化の一つとされています。
医学的な総説でも、数週間程度続く顔の知覚鈍麻は、術前に患者へ説明しておくべき経過として挙げられています。
一方で、表情を動かす顔面神経は、多くの部位でSMASより深い層を走行するとされています。
ただし、部位によってSMASとの位置関係は変化するため、剥離する層や範囲、術式に応じて慎重な操作が求められます。
耳たぶ周辺に症状が出やすい理由(大耳介神経)
切開リフトで影響を受けやすい知覚神経として知られているのが、大耳介神経(だいじかいしんけい:耳たぶや耳の後ろ、下あごの角付近の皮膚感覚を担う神経)です。
この神経は首の側面にある胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん:耳の後ろから鎖骨に向かって斜めに走る首の筋肉)の表面を上に向かって走り、耳の下方で枝分かれしながら耳たぶへ向かいます。
耳の後ろから首にかけて皮膚を剥離する際、この神経の走行と手術の範囲が近接するため、フェイスリフトで影響を受けることが多い知覚神経として解剖学の文献でも繰り返し取り上げられています。
耳たぶや耳の後ろにしびれが出やすいのは、こうした解剖学的な位置関係によるものです。
腫れ・むくみ・内出血による一時的な圧迫
術後早期のしびれには、神経そのものへの影響だけでなく、腫れやむくみ、内出血による周囲からの圧迫も関わります。
手術の直後は、局所麻酔(きょくしょますい:手術する部分だけの感覚を一時的に止める麻酔)の効果が残っていることもあり、しびれの範囲が実際より広く感じられることがあります。
腫れが落ち着くにつれてしびれの範囲が狭くなっていく経過は、こうした圧迫の影響が薄れていく過程と考えられています。
術後の腫れや内出血の一般的な経過については、切開リフトのダウンタイムを解説した記事で詳しく整理しています。
しびれが出やすい部位と感じ方の特徴

しびれが出る場所は、切開の位置と剥離した範囲にほぼ対応し、その広さは症例ごとに異なります。
ここでは、切開リフトの術後に感覚の変化が出やすい部位と、その感じ方を部位ごとに整理します。
耳の前から頬の外側
耳の前から頬の外側にかけては、皮膚を剥離する範囲の中心にあたるため、感覚の鈍さを感じやすい部位です。
「頬を触ると厚みのある布越しに触れているよう」と表現されることがあります。
この範囲の鈍さは、剥離した皮膚の外側から少しずつ感覚が戻ってくる経過をたどることが多いとされています。
ただし、戻る順番や速さには個人差があります。
耳たぶ・耳の後ろ・首の上部
先に説明した大耳介神経が関わる部位で、耳たぶの感覚が分かりにくい、耳の後ろを触っても感じにくいといった形であらわれます。
日常生活では、ピアスやイヤリングの着け外し、髪をとかすとき、電話を耳に当てたときなどに気づかれやすい症状です。
首の上部まで剥離を行う術式では、下あごのラインから首にかけても感覚の変化が出ることがあります。
範囲は術式と剥離範囲によって異なるため、どこまでが想定される範囲なのかを術前に確認しておくと安心です。
こめかみから頭皮にかけて
切開の位置がこめかみや髪の生え際、頭皮の内側に及ぶ術式では、その周辺の頭皮に感覚の鈍さやつっぱり感が出ることがあります。
髪を洗うときやブラッシングの際に、頭皮の感触がいつもと違うと気づかれることが多い部位です。
どこを切開するかは術式やたるみの状態によって異なるため、この部位のしびれは、すべての切開リフトに共通するものではありません。
感じ方の変化は回復の過程とともに移り変わる
感覚の変化は、時期によって感じ方が移り変わることがあります。
術後早期は「何も感じない」「鈍い」という状態が中心で、その後、感覚が戻り始める時期にピリピリ、チクチク、かゆみのような感覚があらわれることがあります。
こうした異常な感覚は、神経の回復過程で生じることがあると説明されることが多い一方で、必ずしも回復を意味するとは限りません。
強い痛みを伴う場合や、感覚の変化が急に広がる場合は、自己判断せず担当医に相談してください。
しびれはいつまで続く?時期別の経過の目安

「しびれはいつまで続くのか」は、術後の方がもっとも知りたい点だと思います。
ただし、回復の時期は術式、剥離の範囲、同時に行った施術、喫煙や持病、服薬の状況などによって変わり、一律に何か月と言い切ることはできません。
以下は一般的な目安としてご覧ください。
| 時期 | みられやすい状態 | 過ごし方のポイント |
|---|---|---|
| 手術当日から1週間 | 局所麻酔の影響や腫れが重なり、しびれの範囲が広く感じられやすい時期 | 耳まわりをこすらず、指示された冷却と安静を守る |
| 術後1か月前後 | 腫れが落ち着いてくるにつれ、しびれの範囲が狭まってくる方がいる時期 | 熱い物・冷たい物の当てすぎに注意し、範囲の変化を記録する |
| 術後3か月前後 | ピリピリ、チクチクなどの感覚が混じり始めることがある時期 | 範囲がまったく変わらない場合は、一つの目安として担当医に相談する |
| 術後6か月から1年 | 感覚の変化が徐々に落ち着く時期。回復の程度には個人差が大きい | 定期的な診察で経過を確認する |
| 1年以降 | 回復がゆるやかになる時期。軽い鈍さが残る場合もある | 気になる症状は診察で評価を受ける |
手術当日から1週間
この時期は、局所麻酔の効果と手術による腫れ、内出血が重なり、しびれの範囲がもっとも広く感じられやすい時期です。
感覚の鈍さそのものよりも、痛みや腫れ、つっぱり感のほうが気になる方も少なくありません。
感覚が鈍い範囲では、冷却のしすぎや、寝ている間の圧迫に気づきにくくなります。
冷却の方法や時間は、担当医の指示に従ってください。
術後1か月から3か月
腫れやむくみが落ち着いてくると、しびれの範囲が外側から少しずつ狭まり、感覚の改善を感じ始める方がいます。
感覚が戻り始める部分では、ピリピリとした感覚や、触ったときの違和感が出ることがあります。
この時期に大切なのは、しびれの範囲が以前と比べて変化しているかどうかです。
鏡を見ながら指で触れて、感覚が鈍い範囲を定期的に確認しておくと、診察の際に経過を伝えやすくなります。
術後3か月から1年
フェイスリフト後の感覚の変化については、1年ほどかけて徐々に回復していく経過が報告されています。
67件の研究(約1万5,000人)をまとめた2025年の系統的レビュー・メタ解析(参考資料1)では、「知覚神経の障害」として報告された例の推定発生率は0.39%、永続的な知覚神経の障害は0.045%とされ、感覚の障害の多くは1年以内に自然に軽快したと報告されています。
ただし、この数値は「神経障害」として集計されたもので、術後に一時的に生じる感覚の鈍さをすべて含むものではありません。
対象の術式や併用施術、感覚障害の定義、評価の時期にも研究ごとのばらつきがあるため、個人の経過や当院での発生率として扱うことはできません。
回復の程度や期間には個人差があり、長引く場合や、まれに感覚の鈍さが残る可能性もあります。
1年を過ぎても症状が残る場合
1年を過ぎると回復のペースはゆるやかになり、軽い鈍さが残ることもあります。
神経が強い損傷を受けた場合には、感覚が十分に戻らないことや、神経の断端に神経腫(しんけいしゅ:傷ついた神経の端にできる小さなこぶ状の組織)ができて痛みの原因になることも報告されています。
こうした場合には、症状の程度や日常生活への影響を診察で評価し、経過観察を続けるのか、何らかの治療を検討するのかを担当医と相談することになります。
長く続く症状を一人で抱え込まず、診察の場で状況を伝えてください。
回復の早さに個人差が出る主な要因
回復のスピードに影響する要因として、剥離の範囲や層、術式、首のたるみ取りなど同時に行った施術の内容が挙げられます。
剥離する範囲や層、術式によって、合併症の種類や発生のしやすさは異なります。
体の状態も関わります。
喫煙は皮膚の血流を低下させ、傷の治りに影響することが知られており、糖尿病などの持病、服薬の状況、血圧のコントロールも術後の経過に関係します。
年齢だけで回復の早さが決まるわけではなく、こうした要因を含めた全身の状態によって経過は変わります。
しびれがある期間に気をつけたい生活上の注意点

感覚が鈍い期間は、痛みや熱さを感じにくいぶん、思わぬけがにつながることがあります。
回復そのものを早める特別な方法があるわけではありませんが、回復を妨げないための注意点を知っておくことは大切です。
熱い物・冷たい物によるやけどや凍傷に注意する
感覚が鈍い部分は、熱さや冷たさを感じ取りにくくなっています。
ドライヤーの温風を同じ場所に当て続ける、ヘアアイロンが耳まわりに触れる、保冷剤を直接長時間当てるといった場面で、気づかないうちにやけどや凍傷を起こすことがあります。
ドライヤーは距離をとって温度を低めにし、保冷剤はタオルで包んで当てるようにしてください。
術後の洗髪や整髪の再開時期については、切開リフト後の髪型やヘアカラーについての記事も参考になります。
耳まわりをこすらない・引っ張らない
しびれがあると、感覚を確かめようとして無意識に患部を触ったり、耳を引っ張ったりしてしまうことがあります。
感覚が鈍い状態では力の加減が分かりにくく、傷や回復途中の組織に負担をかけるおそれがあります。
洗顔やタオルで拭くときは、こすらずにやさしく押さえるようにしてください。
術後の洗顔を再開する時期と方法については、切開リフト後の洗顔について解説した記事で詳しく説明しています。
ピアス・イヤリング・マスクのひもにも配慮する
耳たぶの感覚が鈍いと、ピアスの留め具が強く締まっていても気づきにくく、圧迫による傷ができることがあります。
ピアスやイヤリングの着用を再開する時期は、担当医に確認してください。
マスクのひもやメガネのつるが耳の付け根に当たり続けることにも注意が必要です。
長時間の着用で痛みや赤みが出ていないか、鏡で確認する習慣をつけておくと安心です。
自己流のマッサージは控え、指示された範囲で過ごす
しびれを早く治したいと思い、強く揉んだり自己流のマッサージを行ったりする方がいますが、腫れや内出血を悪化させるおそれがあるため控えてください。
マッサージやケアを行う場合は、担当医の指示があった方法と時期に限ります。
感覚の回復を早めるとうたう市販の器具やサプリメントについても、自己判断での使用は避け、使いたいものがあれば事前に相談してください。
すぐに連絡・受診すべきサイン

しびれは経過を確認しながら様子を見ることになる症状ですが、なかには早めの対応が必要な変化もあります。
ここでは、担当医に連絡すべきサインを緊急度に分けて整理します。
すぐに医療機関へ連絡すべき症状
次のような症状があるときは、しびれの経過を待たずに、すぐに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
血腫(けっしゅ:皮膚の下に血液がたまること)や感染、皮膚の血流障害など、早期の処置が必要な合併症のサインである可能性があります。
| 症状 | 考えられる状態の例 |
|---|---|
| 片側だけ急に強くなる腫れや痛み | 血腫など |
| 止まりにくい出血 | 出血・血腫など |
| 息苦しさ、突然または強い胸の痛み | 全身的な合併症など(緊急性が高い場合は119番) |
| 発熱、膿のような排液、傷の周りの強い赤み | 感染など |
| 皮膚が白い、紫色、黒っぽく変化している | 皮膚の血流障害など |
| 急に顔が動かしにくくなった | 神経への影響など |
このうち、息苦しさ、突然または強い胸の痛み、意識がぼんやりするといった症状がある場合は、手術を受けた医療機関への連絡を待たず、症状の程度に応じて119番への救急要請を行ってください。
そのうえで、手術を受けた医療機関にも連絡してください。
急速に広がる腫れや止まりにくい出血などで、手術を受けた医療機関にすぐ連絡がつかない場合も、救急要請を含め、地域の救急医療機関への相談を検討してください。
夜間や休診日の連絡方法は医療機関によって異なるため、手術を受ける前に、緊急時の連絡先と対応の流れを必ず確認しておいてください。
しびれの範囲が変わらない・広がってきた場合
しびれが気になる場合は、予定された術後の診察で、範囲や変化を必ず担当医と共有してください。
範囲が広がってきた、急に悪化した、強い痛みや顔の動かしにくさを伴うといった場合は、時期を待たずに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
術後3か月前後を一つの目安として、しびれの範囲がまったく変わらない場合も、追加の評価について担当医に相談しましょう。
3か月は医学的な決まった境界ではなく、必ずしも重い問題があるとは限りませんが、経過を早めに評価してもらうことで今後の見通しを確認しやすくなります。
報告の際は、しびれている範囲、感じ方の変化、気づいた時期を伝えると評価の助けになります。
範囲を鏡で確認し、日付と一緒にメモしておくと伝えやすくなります。
しびれに強い痛みが加わってきた場合
しびれている部分に、触れるたびに走るような鋭い痛みや、焼けるような痛みが続く場合は、神経に関連した痛みの可能性があります。
時間がたてば治るだろうと我慢せず、担当医に相談してください。
痛みの原因や程度によって、経過観察を続けるのか、痛みを和らげる治療を検討するのかが変わります。
どの場面で痛むのかを具体的に伝えることが大切です。
顔の動かしにくさに気づいた場合
口角が上がりにくい、口をすぼめにくい、眉が上がらないなど、表情の動かしにくさに気づいた場合は、しびれとは別の問題として早めに担当医へ伝えてください。
先に説明したとおり、これは感覚ではなく運動を担う顔面神経に関わる症状です。
腫れによる一時的な影響で動かしにくく感じることもありますが、自分で判断するのは困難です。
いつから、どの動きがしにくいのかを伝え、診察で評価を受けてください。
しびれのリスクを理解するために術前に確認したいこと

しびれをはじめとする神経に関わるリスクを、手術によって完全になくすことはできません。
そのうえで、術前にどのような説明を受け、どのような準備をするかによって、術後の不安の大きさは変わります。
切開の位置と剥離の範囲
しびれが出る部位は、切開の位置と剥離の範囲にほぼ対応します。
自分の場合はどこを切開し、どのあたりまで剥離する予定なのか、それによってどの部位に感覚の変化が出る可能性があるのかを、術前に確認しておきましょう。
あらかじめ範囲を知っておくと、術後に感覚の変化があったときに、想定内の変化なのか、相談すべき変化なのかを判断しやすくなります。
持病・服薬・喫煙の申告
糖尿病などの持病、服用中の薬、サプリメント、喫煙の有無は、術後の経過や合併症の起こりやすさに関わります。
とくに、抗凝固薬、抗血小板薬、アスピリン、NSAIDs(エヌセイズ:一般的な解熱鎮痛薬の一群)、一部のサプリメントは出血に影響することがあります。
これらを使用している方は、自己判断で中止すると血栓症などのリスクが生じることがあります。
服薬やサプリメントの中止・継続はいずれも、必ず処方医と手術担当医の指示に従い、自己判断で中止や変更をしないでください。
喫煙については、禁煙すべき期間を含めて術前に相談しておくことが大切です。
術前に準備しておきたいことは、切開リフトの術前の注意点をまとめた記事でも整理しています。
術後の相談体制と経過観察の予定
しびれは数か月単位で経過を見る症状であるため、術後にどのタイミングで診察を受けられるのか、気になる症状が出たときにどう相談できるのかを確認しておくことが重要です。
執刀した医師が術後の経過も診る体制かどうかも、確認しておきたい点の一つです。
医師選びの考え方全般については、切開リフトの医師の選び方を解説した記事も参考にしてください。
当院の切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の費用・リスク・通院

ここでは、当院(福岡天神美容クリニック)で行っている切開リフトについて、施術内容、費用、通院、主なリスクを紹介します。
適応の可否や具体的な施術内容は、診察を行ったうえで判断します。
施術内容・費用・通院回数
当院のFTB式SMASフェイスリフトは、抜糸を行わない縫合法を用いたSMAS切開リフトに、当院でFTBリフトと呼んでいる糸による処置を組み合わせたセットメニューです。
耳周りのシワに沿って切開を行い、SMASを含む組織を引き上げます。
施術内容、腫れや内出血の程度、ダウンタイムには個人差があり、適応は診察で判断します。
| 項目 | 内容(2026年9月時点) |
|---|---|
| 施術名 | FTB式SMASフェイスリフト(FTBリフト二本込み) |
| 施術時間 | 手術操作の目安は60分から80分。診察・準備・麻酔・術後の観察を含む院内の滞在時間は別途 |
| 手術と術後の診察 | 手術は1回(抜糸なし)。術後は1週間後、1か月後、2か月後に経過観察の来院あり(経過により変わる場合があります) |
| Long | 定価800,000円(税込880,000円)/モニター価格500,000円(税込550,000円) |
| Exlong | 定価1,200,000円(税込1,320,000円)/モニター価格800,000円(税込880,000円) |
| FTBリフト追加(1本ごと) | 定価70,000円(税込77,000円)/モニター価格40,000円(税込44,000円) |
| 別途必要になりうる費用 | 術前検査、処方薬、追加の処置、修正や再手術が必要になった場合の費用など。内容と金額は状態や治療内容により異なります |
モニター価格の適用には条件があります。
表示価格に含まれる項目、別途費用となる可能性がある項目、モニター価格の適用条件、麻酔の方法は、手術を決める前の診察で必ずご確認ください。
料金は改定される場合がありますので、最新の内容は切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)の施術ページでご確認ください。
本施術は自由診療であり、公的医療保険は適用されません。
当院の切開リフトは固定バンドやドレーンを使用せず、抜糸も行わない方法ですが、この方法が適用できるかどうかは診察で判断します。
また、この設計によって腫れやしびれなどの術後の変化がなくなるわけではありません。
主なリスク・副作用と受けられない場合
切開リフトの主なリスク・副作用には、腫れ、内出血、痛み、頭痛や頭皮のつっぱり感、しびれや感覚の鈍さ、傷跡の赤みや色素沈着、肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん:傷跡が赤く盛り上がること)、左右差、血腫、漿液腫(しょうえきしゅ:皮膚の下に体液がたまること)、感染、皮膚の血流障害や壊死、創傷治癒不良、脱毛や生え際の変化、耳周囲の形の変化、顔面神経の障害、麻酔に伴うリスク、再手術の可能性があります。
妊娠中・授乳中の方、出血しやすい体質の方、抗凝固薬・抗血小板薬を使用している方、コントロールが不十分な糖尿病などの持病がある方、ケロイド体質の方、喫煙される方は、施術を受けられない場合や、慎重な検討が必要な場合があります。
効果のあらわれ方やダウンタイムの経過には個人差があり、結果を保証するものではありません。
術後の経過観察と相談体制
当院では、原則として院長の小林がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。
施術後の経過はLINEでもご相談いただけますので、しびれの範囲や感じ方に変化があったときは、自己判断せずにお知らせください。
夜間や休診日に症状が出た場合の連絡方法と、術後の急な腫れや出血など、すぐに対応が必要な症状があるときの連絡の流れについては、手術前のご説明の際に必ずご確認ください。
息苦しさや強い胸の痛みなど緊急性が高い症状があるときは、119番への救急要請を優先してください。
切開リフトのしびれに関するよくある質問

最後に、切開リフト後のしびれについて、カウンセリングでよく寄せられる質問を紹介します。
糸リフトやハイフでもしびれは起こりますか?
糸リフトやハイフ(HIFU:高密度の超音波を皮膚の下の一点に集めて熱を加える治療)でも、施術後に一時的な違和感やしびれを感じることがあります。
ただし、関わる組織や操作の範囲が切開リフトとは異なるため、症状の出方や経過も異なります。
どの治療にもそれぞれの特徴とリスクがあり、しびれの起こりやすさだけで治療を選ぶことはおすすめできません。
たるみの状態、皮膚の余り具合、ダウンタイムの許容範囲を含めて、診察で適した方法を相談してください。
しびれが出たら手術は失敗なのでしょうか?
剥離した範囲の皮膚に一時的な感覚の鈍さが出ることは、切開リフトで想定される術後の変化の一つとされており、しびれがあることだけで手術の成否が決まるわけではありません。
大切なのは、しびれの範囲や感じ方がどのように変化していくかを経過の中で確認することです。
一方で、範囲が広がっていく、強い痛みを伴う、顔が動かしにくいといった場合は、別の評価が必要になることがあります。
不安な症状があれば、遠慮なく担当医に相談してください。
麻酔が原因でしびれが続くことはありますか?
手術の直後は、局所麻酔の効果が残っているため、しびれを強く感じることがあります。
麻酔による感覚の低下は通常、時間の経過とともに薄れていきます。
術後数日を過ぎても続く感覚の鈍さは、麻酔の影響よりも、剥離による知覚神経への影響や腫れによる圧迫が主な要因と考えられます。
麻酔方法と、それに伴うリスクについては、術前の説明で確認してください。
しびれがあっても仕事やメイクはできますか?
しびれそのものが、仕事や日常生活を妨げることは多くありません。
ただし、仕事への復帰やメイクの再開時期は、しびれではなく腫れ、内出血、傷の状態によって判断されます。
メイクをする際は、感覚が鈍い部分を強くこすらないよう注意してください。
復帰の目安は術式と個人差によって異なるため、ご自身の予定に合わせて術前に相談しておくと安心です。
まとめ

切開リフト後のしびれは、皮膚と皮下組織を剥離する際に、皮膚の感覚を伝える細い知覚神経が影響を受けることや、術後の腫れによる圧迫などによって生じます。
耳の前から頬の外側、耳たぶや耳の後ろ、切開の位置によってはこめかみや頭皮に出やすく、とくに耳たぶ周辺は大耳介神経の走行と関わりがあります。
しびれの範囲は、腫れが落ち着くにつれて少しずつ狭まり、数か月から1年ほどかけて変化していく経過が報告されています。
ただし、回復の程度や期間には個人差があり、長引く場合や、まれに感覚の鈍さが残る可能性もあります。
しびれは表情を動かす顔面神経の症状とは別のものであり、「鈍い」のか「動かしにくい」のかを分けて考えることが大切です。
感覚が鈍い期間は、熱や冷たさ、圧迫に気づきにくいため、ドライヤーや保冷剤、ピアスなどの扱いに注意してください。
急に強くなる片側の腫れや痛み、止まりにくい出血、発熱、皮膚の色の変化、顔の動かしにくさなどがあれば、すぐに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
息苦しさや突然の強い胸の痛みなど緊急性が高い症状がある場合は、119番への救急要請を優先し、夜間や休診時の連絡方法も術前に確認しておきましょう。
本記事の内容は一般的な目安であり、結果や経過を保証するものではありません。
当院では、切開リフト(FTB式SMASフェイスリフト)について、原則として院長がカウンセリングから手術、術後の経過観察までを担当しています。
しびれを含むリスクや術後の経過について詳しく知りたい方は、適応・費用・リスク・術後の対応を確認したうえでご判断いただけるよう、まずはカウンセリングのご予約のうえ、診察でご相談ください。
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記事執筆:福岡天神美容クリニック 院長 小林 直樹
小顔・輪郭専門医として、ダウンタイムを最小限に抑えた施術に注力。糸リフト、脂肪吸引、切開リフトなどで「腫れにくさ」「自然な仕上がり」を追求してきました。
これまでに顔の脂肪吸引だけで累計4,500件以上、総症例数は1万件超を経験。2024年には年間脂肪吸引症例数 日本一を獲得するなど、豊富な実績に裏打ちされた確かな技術を持ちます。
また、二重整形やくまとり、眉下切開、たれ目形成などの目元治療、ヒアルロン酸・ボトックス注入などの若返り治療も得意分野。丁寧なカウンセリングと万全のアフターフォローで、患者様一人ひとりに寄り添った美容医療を提供しています。
「安心して任せられる美容医療」を信条に、理想の美しさと満足をお届けいたします。
【所属学会】
・日本美容外科学会(JSAS)
・アラガンボトックス認定医
・ジュビダームビスタ認定医
参考資料
本記事は、形成外科・美容外科領域の総説や研究報告、学会・行政機関が公開する一般的な情報をもとに作成しています。
施術の適応、術式、費用、リスク、ダウンタイムは個別に異なるため、診察時に担当医へご確認ください。
- 参考資料1|フェイスリフト後の神経障害の頻度と回復について:Facelift Surgery and Nerve Injury: A Systematic Review and Meta-Analysis(Aesthetic Plastic Surgery, 2025)
- フェイスリフトの合併症、術後の知覚鈍麻、大耳介神経と顔面神経の解剖について:Cervicofacial Rhytidectomy(StatPearls, NCBI Bookshelf)
- フェイスリフトにおける大耳介神経の損傷について:Injuries of the great auricular nerve in rhytidectomy(PubMed)
- フェイスリフトの解剖と顔面神経の走行について:Facelift: History and Anatomy(PubMed)
- 日本形成外科学会
- 日本美容外科学会(JSAPS)
- 厚生労働省 医療広告ガイドライン






